人的資本経営時代に必要なデータマネジメントのポイントとは?
人的資本経営が推進される時代、各企業では、データ分析などのデータマネジメントについて改めて重要性を認識された方も多いのではないでしょうか。また人事部門のデータ分析を担う人材不足などに課題を感じていらっしゃる方も多いでしょう。そこで今回は、これから必要になるデータマネジメントのポイントをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.人的資本経営とは
- 1.1.人的資本経営が求められている背景
- 2.人的資本経営が進まない理由
- 3.人的資本経営の成功の4つのポイント
- 3.1.1.役員層と足並みをそろえた取り組み
- 3.2.2.戦略人事の組織体制構築
- 3.3.3.部門を超えたコミュニケーションの持続
- 3.4.4.データによる効果検証
- 4.人的資本の情報開示へ向けたデータマネジメントの6つのステップ
- 4.1.1.データを集める
- 4.2.2.データの確認・整備をする
- 4.3.3.データを厳選して分析する
- 4.4.4.現状と理想のギャップを考える
- 4.5.5.施策を策定する
- 4.6.6.効果を検証する
- 5.人的資本経営時代のデータマネジメントに最適な「LaKeel HR」
人的資本経営とは
人的資本経営とは、人材を「コスト」や「資源」ではなく「投資対象の資本」として捉え、企業価値の向上につなげる経営の在り方です。
近年はただの人材管理から、人材価値を創造する時代へシフトしています。
人的資本経営が求められている背景
人的資本経営が注目されるようになったきっかけは、2008年のリーマンショックといわれています。それ以来、世界的に金融資本主義から人財資本主義へと変化し、投資家の非財務情報への関心が大きく高まっていきました。
2017年には、EUにおいて従業員500人超えの企業には人的資本開示が義務付けられるようになり、この流れを受け、人的資本の情報開示のためのガイドラインである国際規格「ISO30414」が2018年に制定されました。こうした世界的な流れを受け、日本でも2020年に経済産業省により、収益性を上げるための必要な組織体制について特化した報告書「人材版伊藤レポート」が公表されました。
2021年には改訂されたコーポレートガバナンス・コードに人的資本に関する記載が盛り込まれました。さらに2022年には「人材版伊藤レポート2.0」が公表され、人的資本の重要性と共に人的資本経営を具体化し、実践するためのアイデアが示されました。
また、昨今、機関投資家は非財務情報の中でも人材関連情報に着目していることも、人的資本経営が求められている大きな背景といえます。機関投資家が着目する情報のうち、「人材投資」は67.3%と最も多くを占めているアンケート結果(※1)があります。また別の調査(※2)では、人事情報の中で「労働関係法違反の有無」の51.8%に次いで、「人事育成・教育訓練の取り組み」が36.5%考慮されていることもわかりました。機関投資家の人材に関する興味は多岐に渡り、総じて非財務情報への関心が高まっていることがわかります。
※1 一般社団法人生命保険協会「生命保険会社の資産運用を通じた「株式市場の活性化」と「持続可能な社会の実現」に向けた取組みについて」(2021年4月公表)
https://www.seiho.or.jp/info/news/2022/20220415_4.html
※2 独立行政法人 労働政策研究・研修機構「企業の人的資産情報の「見える化」に関する研究」(2018年12月公表)
https://www.jil.go.jp/institute/research/2018/185.html
人的資本経営が進まない理由
人的資本経営の必要性が高まる一方で、国内では実現できていない企業が多いのが現状です。なぜ、進まないのでしょうか。その主な課題として、次のことが考えられます。
人的資本経営の重要性が低い
社内全体において、人的資本経営の根幹を成す人材育成による価値創造に関する重要性が認識されていないことが挙げられます。また組織や人事部門内で、「人事部門が人的資本経営、戦略人事の中心」という認識が低いのも手伝っています。世間では、人的資本経営が求められていることを知りながら、経営の問題であり、人事部門やその他の部門において当事者意識が薄い可能性があります。
人事部門においてデータの集計や分析を行うための人材不足
人的資本情報の開示が求められており、人事データの整理や分析に必要性を感じつつあるなか、人事部門においては時間・スキルの不足を感じており、余力がない場合が多いのが現状です。
こうした課題を受け、人的資本経営を進めるためのポイントになるのは、下記の2点と考えられます。
- 人事部門のマインドセット
- 人事戦略のための余力創出
人的資本経営を中心となって牽引していくのは人事部門であるという正しい認識とマインドを持ち、社内の共通認識とすることと共に、人材不足の対策、特にデータ分析要員の創出が対策の要点となるのではないでしょうか。
【関連資料】人的資本経営の第一歩!人事情報を「見せる化」のメリットや成功事例をご紹介
人的資本経営の成功の4つのポイント
すでに人的資本経営を進め、成功している企業はあります。その事例から、人的基本経営の成功のポイントを抽出しました。そのポイントは4つあります。
1.役員層と足並みをそろえた取り組み
人事部門が主体となって人的資本経営を推進する際には、役員層を巻き込み、足並みをそろえることが重要です。それによって、情報開示する内容の判断やコンセンサスを取りやすくなります。
2.戦略人事の組織体制構築
人材不足という観点からも有効なのが、組織体制を早々に整えてしまうことです。成功企業の中には、CHRO(Chief Human Resource Officer/最高人事責任者)やHRBP(Human Resource Business Partner/HRビジネスパートナー)を設置しているところもあります。これらの役職者が戦略人事を配慮することにより、粒度の細かい施策の検討を実現します。
3.部門を超えたコミュニケーションの持続
従業員成功のカギをにぎるポイントとして重要なのが、部門間連携です。単発的ではなく、持続的なコミュニケーションです。これにより従業員との信頼関係を構築して、エンゲージメント向上を図ることができると共に、従業員を巻き込んだ取り組みが行いやすくなります。
4.データによる効果検証
データを上手く活用していることも成功のポイントです。施策の最中もさまざまなデータを蓄積していくことにより、施策の効果を把握でき、次の施策に活用していくことができます。
【関連資料】人的資本経営の第一歩!人事情報を「見せる化」のメリットや成功事例をご紹介
人的資本の情報開示へ向けたデータマネジメントの6つのステップ
人的資本経営を進め、人的資本の情報開示を実現するには、データマネジメントが要となると言えます。そこで、データマネジメントのステップをご紹介します。
データマネジメントは、企業ごとに設定した「KGI(中長期経営計画)」の目標達成に向けて行います。
1.データを集める
社内に散在するデータを収集し、一元管理します。データを集める際には、人事部門だけでなく、他部門からも売上データをはじめ、人や組織に関わるデータをとにかく多く集めることがポイントです。それには他部署との連携が重要になってきます。CHROを設置するなどして、部門横断的にデータを取得できるようにすることも有効です。
2.データの確認・整備をする
収集したデータは分析できるデータかどうかを確認し、様式が異なれば、分析できるよう整備をする必要があります。
3.データを厳選して分析する
データ分析を行いますが、その前に分析するデータを厳選することが大切です。ISO30414認証取得を目指すのであれば、ISO30414と自社のKGIが交わる点から取り組むのをおすすめします。
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4.現状と理想のギャップを考える
KGIと分析結果を見比べ、現状課題を把握します。そうして達成までのストーリーを戦略的に形にすることで、企業価値につなげることができます。
5.施策を策定する
一連の施策において、常に人事戦略が経営戦略と連動していることを意識することが重要です。人事戦略と経営戦略のギャップを埋めるための、経営戦略と紐づけた人事戦略の施策を策定します。誰もが納得する腹落ちするストーリーを考えていきましょう。
6.効果を検証する
施策を実施しながらも、分析データと試作結果を見極め、効果を検証します。このステップを回すことによりKGIの目標達成と人的資本経営の実行につなげていくことができます。
また、このステップの実行と並行しながら、継続的に人的資本経営の方針に基づく取り組みを実施することで、精度高く、透明性の高いデータの情報開示が実現できるでしょう。
人的資本経営時代のデータマネジメントに最適な「LaKeel HR」
人的資本経営を進めるための透明性の高いデータを用意することが重要になってきます。そのようなデータマネジメントには、統合型人事システム「LaKeel HR(ラキール・エイチアール)」を活用することがおすすめです。
LaKeel HRでは、ウィジェットの自由選択配置により誰もが使いやすい操作性や見やすい画面が特徴で、データ管理からシミュレーション・分析までを簡単に実現できます。そのため、人的資本の情報開示に必要なデータ分析や人的資本経営の施策のデータによる効果検証などに役立ちます。
LaKeel HRは戦略人事の実行をサポートする機能を備え、人的資本経営時代のデータマネジメントに十分なパフォーマンスを発揮できます。
詳細についてはぜひサービスページやサービス資料をご覧ください。
●LaKeel HRのサービス資料は こちらよりダウンロードいただけます。