人事システムとは?特徴からメリット・デメリット、選び方のコツ、導入成功事例まで一挙ご紹介!
近年、あらゆる業務においてシステム導入が進んでいますが、人事部門には特に人事システムの導入を検討する機会もあるのではないでしょうか。人事部門の業務効率化を始め、人材配置やタレントマネジメントなどの目的から、人事システムの新規導入や見直しを図るケースも多くなっています。
これから人事システムを導入する場合、どのような予備知識や検討が必要なのでしょうか。今回は、人事システムの特徴から種類、メリット・デメリット、選び方のコツ、導入成功事例まで一挙ご紹介します。
目次[非表示]
- 1.人事システムとは?
- 2.人事システムの価格帯
- 3.人事システム導入のメリット・効果
- 3.1.人材の適切な管理・適正配置
- 3.2.人材評価のデジタル化
- 3.3.社員のパフォーマンスの可視化
- 3.4.タレントマネジメントの実現
- 3.5.面談記録の保存
- 3.6.人事業務の効率化
- 4.人事システムの主な種類の機能とメリット・デメリットを比較!
- 5.納得のいくシステム選定を実現するための前提と4つのポイント
- 5.1.1.業務要件を洗い出す
- 5.2.2.機能の拡張性を確認する
- 5.3.3.システムの継続性・柔軟性を考慮に入れる
- 5.4.4.選定段階から各部署のキーマンを巻き込む
- 6.人事システムの導入手順
- 6.1.無料トライアルやデモ画面の確認を行う
- 6.2.サポート体制を確認しておく
- 6.3.導入プロジェクトを実施する
- 7.総合管理型の人事システム導入の成功事例2つ
- 7.1.1.全社員のスキル・キャリア志向などを公開
- 7.2.2.タレントマネジメントに活用
- 8.総合管理型の人事システム「LaKeel HR」とは
- 9.まとめ
人事システムとは?
人事システムとは、人事情報を管理するシステムのことです。管理するデータの種類によって、人事システムの種類も複数あります。
人事システムの種類は、労務管理や勤怠管理、給与計算、採用管理、人事評価、人事評価分析などに分けられます。また、これらの機能がすべて搭載されている総合管理ツールもあります。いずれにしても、人事システムは社員の人事情報の管理や評価、分析などを行う機能を備えています。
そのため、人事システムを比較・導入する際は、人事部門にとって必要な機能を備えているものを選択する必要があります。
また、人事システムの導入形態はオンプレミス型とクラウド型に大別され、近年はクラウド型で手軽に導入・利用できるものも増えています。
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人事システムの価格帯
人事システムを導入するにあたって、まず最初に考えるのが、予算と合うかどうかという点ではないでしょうか。人事システムを決裁する際にも、人事システムの価格は最初に予算に応じて範囲を決めておくことも多いでしょう。
人事システムの価格帯はどのくらいでしょうか。人事システムの料金相場は幅広く、導入形態によって大きく異なります。一般的に、クラウド型は月額料金制のことが多く、利用ユーザー数にもよりますが、月額数千円で利用できるツールもあります。
一方で、いわゆるオンプレミス型と呼ばれるような、買い切りのシステムの場合では、価格帯は数百万円~数千万円にわたる場合もあり、高価なのが不安要素といえます。
一般的には、クラウド型人事システムのほうが初期導入料金が安く、導入しやすい利点がある一方、カスタマイズ性が低い点が不安要素として挙げられます。また、クラウド型は料金が安いといっても月額料金制のため、長期にわたってサービスを利用した場合、トータルコストはオンプレミス型と差がなくなるといった点もあります。
このように、幅広い価格帯の人事システムが存在するため、後述する選定プロセスや注意点を参考に、自社にマッチした人事システムを検討することをおすすめします。
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人事システム導入のメリット・効果
人事システムは、企業に導入されてから、一般的にどのようなメリットや効果を生み出しているのか、主なものを取り上げます。
人材の適切な管理・適正配置
人事システムは、基本的に社員の情報のデータベースと紐づけられています。例えば、社員の個人情報や採用時の適正試験、面談スコアといった情報です。また、業務に対する評価やスキルなどのデータもあります。人事システムを導入することで、そういった各社員のデータを総合的に管理することが可能になります。例えば、特定の条件で人材を抽出するといったことが容易になるなどといった利点があります。
こうした社員の総合的なデータを活用すれば、適材適所への配置が可能となります。一人当たりの社員の情報が多ければ多いほど、より適正な配置が可能になります。
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人材評価のデジタル化
人事システムの機能の種類の一つに、人材評価があります。人材評価を行うためのデータ管理は、従来、紙やエクセルへの入力によって行われてきた背景には、一人の人物を評価するにあたり、複数の上司が1次評価・2次評価と多段階評価することが多く、ワークフローの運用に加え、複数のデータをかけあわせて分析を行うといったことの難しさがあります。一方、人事システムの人材評価機能を利用すれば、人材評価データをデジタル化することができ、業務効率化につながるのはもちろんのこと、その人材評価データを用いて評価傾向や評価情報の分析が可能になります。
社員のパフォーマンスの可視化
人事システムでは、社員が業務で成果を出した際の記録や、日々の目標達成状況、モチベーションサーベイの結果など、社員のパフォーマンスに関連するデータを収集することが可能です。そのデータを活用することで、パフォーマンス分析が可能になり、組織全体のパフォーマンス向上につながります。
タレントマネジメントの実現
タレントマネジメントとは、社員が持つスキル・資質・才能などの「タレント」の情報を重要な経営資源とし、採用や人材配置、教育等に活用することを指します。ただの人材配置とは異なり、社員のタレント管理を経営戦略的に実施するものです。その結果、会社のパフォーマンスの最大化を目指します。そのタレントマネジメントを実現できる人事システムもあり、スキル・資質・才能を一元管理して可視化することで、経営戦略に沿った人材を迅速かつ適切に配置することが可能になります。
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面談記録の保存
近年、社員のメンタルヘルス向上、モチベーション管理などの側面から、1on1ミーティングを積極的に取り入れる企業が増えているといわれます。そうした面談のたびに、人事システムに記録を残しておくことで、先にご紹介した人材の適切な配置やタレントマネジメント等、あらゆる人材管理や人事戦略に役立ちます。
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人事業務の効率化
従来の人事業務においては、エクセル等でデータ管理を行っているケースが多かったため、人事システムによってデータの一元管理が可能になることで、業務負荷の軽減につながります。特に採用や異動の時期などの繁忙期に各データの管理や分析が容易かつスピーディーに行うことができるようになるため、人事戦略にもメリットが生まれます。
人事システムの主な種類の機能とメリット・デメリットを比較!
人事システムを導入することにより、さまざまな効果があることをお伝えしました。次に、人事システムの種類や機能ごとにどのようなことができるのかご紹介します。また、それぞれのメリットとデメリットも見ていきましょう。
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労務管理ツール
労務管理ツールとは、人事部門の労務業務に活用できるツールです。社員の情報を一元管理しながら、例えば、入社の手続きや給与計算、社会保険や雇用保険などの情報管理や、各種申請手続などの業務を効率化します。
マイナンバーを管理する機能が追加されたシステムが近年、特に注目を集めています。
・メリット
労務管理で煩雑といわれる書類作成や手続きの手間を省き、スピードアップすることが大きなメリットといえるでしょう。システムに直接社員に入力してもらうことで、ミスによる書類の差し戻しの手間もなくなります。
また、社員数が多かったり、多くの拠点があったりする大規模な会社の場合には特に労務管理は大掛かりになりますが、労務管理ツールを導入すれば一元管理ができるので、管理業務が大幅に効率化します。
・デメリット
特にマイナンバーを取り扱う労務管理では、強固なセキュリティが求められます。そのため、セキュリティの観点も頭に入れて労務管理ツールの選定を行う必要があります。また、労務管理ツール導入時には、自社の就業規則などによって最適かどうかがわかりません。もし合わないものを導入してしまうと、後日カスタマイズが必要になるなどして、かえって導入しないほうがよかったとなってしまいますので注意しましょう。
勤怠管理ツール
勤怠管理ツールとは、社員の出退勤を記録し、その記録したデータを管理することができるシステムです。また、休日出勤や残業日数など、イレギュラーな勤怠も発生しますが、そうしたデータも合わせて処理することができます。
勤怠管理ツールには、打刻機能が付いているのが一般的ですが、製品ごとに打刻方法が異なります。例えば、PCやスマートフォンで打刻できるものや、Web画面上で打刻するもの、ICカードを通じて打刻するもの、静脈認証で打刻するものなどがあります。
・メリット
勤怠管理ツールを導入することにより、勤怠管理が効率化するのはもちろんのこと、社員の労働環境を総合的に把握することができます。また給与計算システムと連携することで、給与計算業務の効率化にもつながります。
また、従来の打刻と比べて不正がしにくくなる機能が搭載されていることがほとんどなので、社員の不正打刻の削減も実現できます。
・デメリット
勤怠管理ツールは、法令遵守や業務の効率化などの実現が期待できますが、直接売上への貢献につながるとは言い切れません。そのため、コストをかけてまで導入すべきか社内で検討が必要になります。費用対効果をどのように実現するのかを検討しておく必要がありそうです。
給与計算ツール
給与計算ツールとは、社員の勤怠データを用いて、給与計算業務を行うことができるシステムです。また賞与や残業代、所得税も含めて、毎月の給与を効率的に計算、管理できるほか、年末調整の処理などの自動化も可能です。通勤手当などの計算も給与計算ツールで行うケースもあります。
また、給与計算ツールのデータを、勤怠管理ツールと連携させたり、給与明細電子化システムと連携させたりすることで、さらに給与関連の一連業務を効率化できるツールもあります。
・メリット
給与計算ツールは、給与計算という人為的ミスが発生しやすい作業を自動化することで、ミスの低減と共に業務効率化が可能になります。社員数が多ければ多いほどメリットが高まるでしょう。
・デメリット
給与計算デメリットは少ないものの、導入するシステムと自社の制度との不一致が大きい場合はカスタマイズが必要になるため、導入コストや手間がかかると考えられます。もちろん、選定時によく検討することが大切です。
採用管理ツール
採用管理システムとは、採用業務において、自社の採用募集に対する応募者の管理を行うシステムです。募集から採用までの一連業務を効率化することができます。主な機能には、求人票作成、各求人媒体への求人票の掲載、面接の日程管理、面接前の応募者への連絡、面接時の担当者からのフィードバックなどの機能があります。
・メリット
採用管理ツールを活用することで、応募者への連絡漏れなどのミスを低減するほか、採用業務を効率化することが挙げられます。人手不足が叫ばれる現代において、採用における競争も激化しており、よりスピーディーに採用活動を行っていく必要があります。そうした中、採用管理ツールを導入することで、他社に差をつけることができます。
・デメリット
一方で、採用管理ツールは、会社によっては採用募集者が少人数であるといった場合に、効率や費用対効果の面で必ずしもプラスにならないことがあります。採用管理ツールを導入するかどうかは、採用活動の規模感や注力の度合いによって検討の余地がありそうです。
人事評価ツール
人事評価ツールとは、社員の能力や業績などの評価に関するデータを一元管理するシステムです。人事評価といってもさまざまな種類がありますが、評価の種類は、「360度評価」や「コンピテンシー評価」などシステムによって対応しているものが異なります。それらの評価を行う際に、評価シートを作成するためのテンプレートが用意されていることが多く、そのテンプレートを活用して手早く作成できます。また、評価シートに記入した後、集計を行こともできます。
また、社員一人一人の目標の進捗管理もすることができます。面談でのフィードバック状況なども記録して管理することで、より精度の高い評価が行えます。
・メリット
従来から、人事評価データはエクセルなどを使って運用・管理するのが一般的ですが、人事評価ツールを利用することで、評価シートの作成から配布、回収、集計、分析など多くの業務を効率化できます。
また、公正な評価につながるため、人材育成に活用したり、スキルに合わせた適切な人材配置を行ったりできます。タレントマネジメントにも活用できるでしょう。
・デメリット
人事評価ツールは、必要に応じて導入するものであるため、すべての企業に最適かといえばそうとは言い切れません。自社の評価制度に対応しているか、規模に適しているかなどよく検討する必要があります。
また人事評価ツールには、人事評価業務に特化したタイプと、タレントマネジメントや人材育成なども視野に入れた幅広い人材管理業務に対応する汎用タイプがありますので、最適なものを選ぶと良いでしょう。
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人事データ分析ツール
人事データ分析ツールは、人事システムの中でも、「分析」に特化したシステムです。社内にある人材データを集積し、それを分析し、レポーティングするための機能が充実しています。例えば、よくあるのが「人員構成分析」です。これは、社員全員に対して、年齢、性別、学歴、勤続年数、正社員・契約社員・アルバイトなどさまざまな視点で人員分布をつかむものです。これにより社員の傾向をつかむことができます。例えば、「30代以上の社員が少ない」「高学歴の社員が多い」などが挙げられます。他に、「入退社分析」や「生産性分析」などの分析手法が挙げられます。どのような分析ができるのかはツールによって異なります。
・メリット
人事データ分析ツールの一番のメリットは、従来、社内に散らばっていたデータを一元管理した後、分析を自動的に行えることで、これまでに知り得なかった角度から自社の人材状況を可視化できる点にあります。例えば、入退社の状況の変化が、数年前と現在では異なることがあります。離職率が年々徐々に増加しているなどの場合、早期に気付くことで対策を取ることができます。分析結果のレポートは企業経営に有益な情報となり得ます。
・デメリット
人事データ分析ツールで分析するためには、まずデータが必要になります。そのデータが存在しない場合や、そもそも分析することを想定していなかった質の低いデータしかない場合などは、システムを導入しても分析ができないといった課題があります。
総合管理ツール
総合管理ツールとは、上記でご紹介してきた人事システムのほとんどの機能を備えているシステムです。つまり、労務管理、勤怠管理、給与計算、採用管理、人事評価、人事データ分析といったあらゆる機能が一つのシステムに備わっています。
・メリット
総合管理ツールのメリットは、複数のシステムを入れなくても済むという点にあります。あらゆる機能を利用したいという場合、コストとしても、システム使用時の手間としてもメリットが大きいでしょう。
また、総合管理ツールのその他のメリットとしては、従来の人事部門が行うあらゆる業務を効率化するのはもちろんのこと、総合的にデータを一元管理し、それらを分析・レポートすることから、経営戦略に役立てることができる点が特徴的です。「戦略人事」という言葉を近年、よく目や耳にするようになってきました。これは単に人事を戦略的に行っていくことではなく、企業のミッションや経営目標を達成するために、人的経営資源を適切にマネジメントしていくことをいいます。経営戦略起点の人事が柔軟に行える点は、総合管理ツールの一番のメリットと言ってもいいかもしれません。
・デメリット
総合管理ツールは、使わない機能が多い場合、適さないという点があります。とはいえ、将来的に必要になる可能性がある場合、それを見越して導入することは決して損ではないでしょう。また、総合管理ツールを導入することで、あらゆるデータの収集・活用を効率的に行えるため、データの収集が全くできていない場合などは導入の余地があります。
各種類のメリット・デメリットを紹介してきましたが、多角的な分析の効率化や分析後のアクションを見据えているなら、おすすめなのは総合管理ツールです。もちろん、全ての企業におすすめというわけではないですが、現代において求められる戦略人事の実行を考えている企業にとっては、統合管理型の人事システムが助けになるでしょう。
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納得のいくシステム選定を実現するための前提と4つのポイント
実際に人事管理システムを選定する際には、ぜひ適切なポイントを押さえて行っていくのをおすすめします。ここでは、納得のいくシステム選定を実現するための前提となることや、4つのポイントをご紹介します。
<前提 システム選定で最も重要なこと>
前提として、システム選定で最も重要なことは、システム導入の「目的を明確にする」ことです。それにより、どんな機能が必要なのか、ポイントをずらさずに洗い出すことができます。言い換えれば、目的が不明確、曖昧なシステム選定は、システム導入中に際限なく要件が膨らみ、結果的にスケジュールの遅延、コスト超過など、様々なトラブルの要因になります。
逆に言えば、目的を明確にしておくことで、コストや費用対効果を想定することができます。
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1.業務要件を洗い出す
前提を踏まえた上で、まず最初にやるべきことは、必須となる業務要件を洗い出すことです。その際に気をつけなければいけないポイントは、以下の3つの観点別に業務要件を洗い出すことです。
現行システムで実現している業務要件
現行のシステムですでに実現できていて、新システムでも必要な業務要件を洗い出すことが第一歩目になります。現行システムで実現できている業務すべてが必須要件と考えてしまうかもしれません。しかし、例えば現行のシステムでは実現しているが、現在ではその業務頻度が激減しているケースなどもあるため、必須と言えないケースもあるのではないでしょうか。
新しいシステムで実現したい業務要件
現行のシステムで実現できていなくて不便さを感じている、生産性が落ちている要件は、ぜひ洗い出しておきましょう。現行システムを選定したときには実現することが難しかった要件が、最新のシステムでは実現することが容易なケースもあります。せっかく新しいシステムを選定するのですから、現行システムの要件を維持するのではなく、人事業務の生産性向上やユーザー部門への付加価値の提供などの観点を取り入れてみるといいかもしれません。
中長期で考えた場合に実現したい業務要件
人事のあるべき姿に求められる業務要件も考慮に入れておく必要があります。例えば、中期経営計画で人事と経営の連携の強化などを謳われているケースも多くなっています。戦略人事に必要とされるデータ分析や、面談記録、従業員満足度調査、アンケートをはじめとするピープルデータの管理など、既存の統合型システムの多くで機能を有していない領域があります。システム選定が完了し、導入プロジェクトがスタートしてから気づいたのでは、取り返しがつかないことになります。
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2.機能の拡張性を確認する
業務要件を洗い出した結果、必須要件や重要性の高い要件が機能として備わっていないシステムがあるかもしれません。その場合はどうしますか? 必須、もしくは重要度が高い以上、諦めるわけにはいきません。
その際に重要なポイントになるのが、機能の拡張性になります。システムの標準機能だけでは対応できないケースがあります。その場合、別途専用機能を開発(アドオン開発)してもらうというのも重要な選択肢になります。システムの標準機能にこだわりすぎて、重要な要件が満たされなければシステム選定の目的が達成できません。
アドオン開発であれば個社要件を満たすことが可能です。その反面、アドオン開発に頼りすぎるとコストが膨らみ、費用対効果が低くなるリスクがあります。バランスを考えたシステム選定を心がけましょう。
3.システムの継続性・柔軟性を考慮に入れる
たとえ要件を満たしていたとしても、システム基盤の技術が古く、すでに陳腐化し始めているシステムでは、長期的な利用は困難な可能性があります。
例えば、マイクロサービスを活用し、部品化した機能の組み替えや拡張が可能であるといった、継続性や柔軟性を担保しているシステムか否かを見極めることで長期的な利用が可能になります。
昨今のIT業界で問題になっている「2025年の崖」と同様の課題を抱える要因にもなります。
そのためにも、継続性・柔軟性を図るという観点で、情報システム部門の方に協力を仰ぐこともシステム選定において重要なポイントになります。
4.選定段階から各部署のキーマンを巻き込む
最後に重要なポイントは、関係部署のキーマンと認識合わせを行いながら選定を進めることです。なぜならシステムを刷新する際に、必ず発生する事象があり、システム選定後のトラブルに発展しやすいためです。
1つ目は、業務フローの見直しです。
新しいシステムを導入することで、システムの機能により業務フローが短縮できるケースや、または一部プロセスが増えるケースがあります。
2つ目は、従業員のオペレーションの変化です。
新しいシステムでは、データ入力画面の変更や、入力項目の配置の変更など細かい変化が多くあり、現行のシステムと比べると、見慣れていない分、利便性が下がったように感じてしまう傾向があります。
また、上記の2つの事象のメリットもデメリットも含めて、事前に関係部署のキーマンを巻き込むことで、スムーズなシステム選定を実現することができます。
人事システムの導入手順
納得のいく人事システムが選定できたら、いよいよ導入していきます。
ここではおすすめの導入手順を紹介します。
無料トライアルやデモ画面の確認を行う
選定段階で、無料トライアルを行っていることも多いと思われますが、もし無料トライアルを行っていない場合には、ぜひ一度行うのをおすすめします。外から見ているだけではわからないことが、実際に触ってみて、一定期間運用してみることで初めて見えてくることもあるからです。トライアルを行っていないシステムであっても、デモ画面の確認はさせてもらいましょう。このとき、実際に操作する担当者が直接触ってみることが重要です。
サポート体制を確認しておく
導入前の確認で手薄になりがちなのが、サポート体制です。システムの機能面や自社への適性ばかりに気を取られがちですが、運用開始後、困ったことがあったときにどのくらいの、またどのようなサポートが得られるのかは重要なポイントです。
導入プロジェクトを実施する
導入する人事システムが決まり次第、導入プロジェクトを立ち上げるのをおすすめします。人事部門の担当者だけでなく、情報システム部門の担当者も共にチーム編成しましょう。オンプレミス型の場合はもちろん専門知識が必要になりますが、クラウド型であっても人事担当者だけでは難しいケースもあります。特に社内のセキュリティポリシーに則って導入することも必要ですから、十分にチーム編成には気を配るのをおすすめします。
総合管理型の人事システム導入の成功事例2つ
実際に人事システムを導入することで、成功した企業はどのように活用しているのでしょうか。ここでは参考までに、総合管理型の人事システムの導入・活用事例を2つご紹介します。
1.全社員のスキル・キャリア志向などを公開
食品メーカーである味の素株式会社は、総合管理型の人事システムを導入し、点在していたデータや施策を統合しました。これによって、社員のスキルや経験などのプロフィールのほか、各社員のキャリア志向などが可視化され、全社員に公開しました。結果、多様性を生かした最適な人材配置の実現可能性が広がったといいます。
2.タレントマネジメントに活用
生命保険会社である明治安田生命保険相互会社は、人事マネジメント改革に取り組む際、総合管理型の人事システムを導入し、約13,000名の社員を対象にしたタレントマネジメントを実施しました。実施に当たり、約1,000名の管理職の経歴を開示し、社員が主体的にキャリア形成に励むことの後押しをしました。さらに管理職側が部下や自組織の情報を閲覧できるようにし、マネジメント・人財育成の高度化に活用しています。
総合管理型の人事システム「LaKeel HR」とは
人事システムの中でも、総合管理ツールに分類される「LaKeel HR(ラキール・エイチアール)」は、おすすめの人事システムです。
給与、人材管理、入退社手続き、異動、評価、勤怠管理、サーベイ、人材育成といったあらゆる機能を総合的に備えることで、業務プロセスの可視化と「戦略人事」の実行を全面的にサポートします。
基本的な人事業務が効率化するだけでなく、データ分析や業務プロセスの共有によって、人事担当者のあらゆる業務をカバーします。
データを可視化・一覧化し、表示することにより、煩雑な分析作業から解放され、次の業務のアクションまでアシストします。データの分析から施策実行までLaKeel HR一つで完結するのは業務効率化につながります。
インターネット経由で手軽に利用できる統合型人事システムであるため、初めてでも安心して導入可能です。また導入時と共に製品サポートや活用サポートも充実していることから、運用時も安心して利用できます。
LaKeel HRのサービス資料は こちらよりダウンロードいただけます。
まとめ
人事システムの基本的な事項から選定・導入時に役立つ情報まで、ご紹介してきました。今回ご紹介した選定ポイントをぜひヒントにしていただき、最適な人事システム選定にお役立てください。
人事システムは、すでに多くの企業が活用していますが、「戦略人事」を実行するためには、総合管理ツール「LaKeel HR」が大きな助けとなります。