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HRビジネスパートナーの苦悩とこれから


近年、日本でも広まりつつある新しい人事の役割が「HRビジネス​パートナー(以下、HRBP)」です。“守りの人事”から“攻めの人事”へ変革するにあたり、HRBPは重要な役割を担っていますが、うまく機能できずにいる企業も多いようです。

この記事ではHRBPが抱える課題やこれからの日本の人事にとって、どのように機能させていくべきかをご紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.HRビジネスパートナー(HRBP)とは
  2. 2.HRBPの業務
    1. 2.1.人材戦略(量・質)の実現
    2. 2.2.人材の惹きつけ・リテンション(退職防止)の実現
  3. 3.HRBPの苦悩
  4. 4.今後のHRBP

HRビジネスパートナー(HRBP)とは

HRBPとは、経営者や事業部門の責任者に対して、事業を成功させるために右腕となり、人や組織の側面から専門的な知見・ノウハウを提供し支援を行なう「戦略のパートナー」であり、従業員一人ひとりにとっては「自部門の担当人事」であると言えます。

エンプロイ―エクスペリエンス(EX)時代が到来し、エンゲージメント向上に繋がるため、従業員に魅力的なEXを提供することは人事にとって関心の高い課題になります。一方で、企業はダイバーシティの推進、個の尊重を強めているため、社員一人ひとりの企業とのタッチポイントが異なり、その時の感じ方も多様化しています。そのため、魅力的なEXをデザインするためには、社員一人ひとりをいかに把握していくかという問題に直面します。そこで期待されるのがHRBPです。人事が人事部屋に籠り、従業員からのアクションを待つだけの受動的な人事の時代は終わったと言われています。


HRBPの業務

人材戦略(量・質)の実現

まず、事業部門の業績・事業計画、退職予測などから要員計画・人件費予算を作成します。その計画と現状の差分から人員増減に向けた施策を立案・実行します。

この施策として外部から調達する「採用」や社内で調整する「異動」などがあります。


人材の惹きつけ・リテンション(退職防止)の実現

採用求人者や従業員にとって魅力的な会社・組織とは何かを把握し、適切な情報提供や環境づくりにより、優秀な人材を確保していく必要があります。これはEXの設計とも言えます。

例えば、キャリアニーズの把握と提言、長時間労働者のヒアリングや改善の提言、組織人員のスキル把握と最適な育成方法の企画実行などを行ないます。

これらの活動をするにあたり、重要なのは、事業部門の事業の把握と従業員の把握です。これまでの人事で管理している従業員情報は属性情報が中心でしたが、パーソナルな情報も蓄積し分析していくことが必要になります。人材データを集計し事実の可視化はもちろんのこと、未来予測分析やどのような施策を打つべきかなどのアクション分析も必要になります。

PwCの調査結果によると大企業を中心に人材データを分析活用している企業は着実に増加しています。

>人事も現場も使いやすく、必要な情報を一元管理する人事システム



出展:PwC 「ピープルアナリティクスサーベイ2020」調査結果

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HRBPの苦悩

これまで日本企業には拠点における人事オペレーションを担う「部門人事」「工場人事」という人事の役割が存在しました。この「部門人事」や「工場人事」と戦略的・支援的機能を果たすHRBPの役割は全く別物ではあるものの、概念が浸透されず同一に扱われてしまうことが多いようです。

また、HRBPを担う人材の能力的な問題から、「御用聞き人事」「便利屋人事」になってしまっているという話もよく聞きます。本来、HRBPは人材戦略立案やEXの設計を行なう必要がありますが、その能力を有してない人が事業部長との信頼関係を築くために、本来事業部長や人事のオペレーション担当が担うべき労務管理や人事異動の申請などの業務を代行してしまうのです。

事業部から見るとHRBPが事業や組織のメンバーを理解しているわけがないので、戦略的なことやEXについてHRBPから提言ができないだろうと期待されていないのが実態のようです。


今後のHRBP

昨今のジョブ型雇用への移行や事業部門長がエンゲージメント結果に対する責任が評価に組み込まれる企業が増えてきたことから、事業部門からのHRBPへの期待は高まることが予想されます。

ニーズはあるがビジネスに貢献できていない状況から、いかに脱却できるかがカギとなりそうです。

そのためには以下のようなことに取り組んでいく必要があります。

  • HRBPのミッションの明確化と浸透
  • 事業部門とのコミュニケーション量を増加
  • HRBPのオペレーション業務を減らし、CoE・オペレーションに集約
  • 事業部門の戦略・ミッションの理解向上
  • 労働法や採用マーケット情報など人事専門の知識スキルの向上
  • 組織人材データ分析力の向上

またHRBPは事業部門の経験を生かすこともできるポジションですので、戦略的にジョブローテンションをすることもHRBPを強化する一つの手段です。

優秀なHRBP人材を育成していくことが、EXへ繋がり、これから企業には必要なことなのかもしれません。

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