人事基幹システムとは?ERPとの違いや導入のメリットを解説

人事基幹システムは、近年、企業の人事部門に導入され、人事業務および経営の効率化として活用されています。現在、導入を検討されているものの、どのようなシステムなのか、ERPとの違いなどがわからず、迷われている方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、人事基幹システムの概要やERPとの違い、導入のメリットをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.人事基幹システムとは
- 2.基幹システムとERPの違い
- 3.人事基幹システムを導入する6つの目的
- 3.1.目的1:人事・労務業務の効率化と自動化
- 3.2.目的2:従業員情報の一元管理とデータの可視化
- 3.3.目的3:戦略的人事(タレントマネジメント)の実現
- 3.4.目的4:法改正への迅速な対応とガバナンス強化
- 3.5.目的5:従業員エンゲージメントの向上とコミュニケーションの活性化
- 3.6.目的6:多様な働き方への対応と柔軟な人材活用
- 4.人事基幹システム導入のメリット
- 5.失敗しない!自社に合った人事基幹システムの選定ポイント5選
- 5.1.ポイント1:自社の課題と導入目的が明確か
- 5.2.ポイント2:必要な機能の網羅性と拡張性
- 5.3.ポイント3:既存システムとの連携性
- 5.4.ポイント4:操作性(UI/UX)と従業員への浸透しやすさ
- 5.5.ポイント5:セキュリティとサポート体制
- 6.戦略人事を推進する人事基幹システム「LaKeel HR」とは?
- 7.まとめ
人事基幹システムとは
人事基幹システムとは、人事領域における基幹システムを指します。

基幹システムとは、企業活動の基幹となる経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報などを管理するシステムのことです。経営資源を活用した事業戦略の具体的な計画策定に必要なデータを一か所に集めて活用します。
基幹システムと一口に言っても、業務領域によって分かれており、人事基幹システムの他にも次のようなシステムがあります。
・生産管理システム
製品の生産計画から、工程の管理、市場の需要予測までを行うシステムです。
・販売管理システム
販売する商品の受注から出荷までのプロセス管理や売上情報の一元管理を行えるシステムです。
・在庫管理システム
製造・販売・物流などにかかわる在庫をデータによって管理するシステムです。
・会計管理システム
決算書や財務諸表の作成から、請求書や発注情報まで、会計にまつわる情報を一元管理するシステムです。
・仕入管理システム
仕入先から届いた商品や材料などを発注データと照らし合わせながら、検品や仕訳入力などの仕入れ関連の業務を自動化するシステムです。
●人事領域における基幹システムとは
人事基幹システムは、人事領域に関わるあらゆる経営資源を管理するシステムです。
従業員の個人情報や人事評価情報、給与情報や勤怠情報、採用活動などの情報を集めてデータ管理します。また会計管理システムや各種人事申請・承認などが可能なワークフローシステムと連動させて人事業務を効率化しているケースも多くあります。
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基幹システムとERPの違い
基幹システムは、ERPと似ていることから、混乱している人もいるかもしれません。そこで基幹システムとERPの違いをご紹介します。

ERPは「Enterprise Resource Planning(企業資産計画)」の略で、企業の会計業務や人事業務、生産業務、物流業務といった基幹となる業務を統合し、効率化や情報の一元化を図るためのシステムを指します。
ERPも、ヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源を一元管理するシステムですので、基幹システムと同様に扱われているケースもあります。
あえて違いを挙げるのであれば、基幹システムが業務別に構築されることが多い一方で、ERPは全社の業務を横断してデータを管理する点です。
基幹システムとERPとは、個別で見た場合には業務内容は同じですが、ERPは企業や組織の経営資源をトータルで一元管理する意味合いが強いといえます。
比較項目 | 基幹システム | ERP |
対象範囲 | 部門ごと・業務ごと (個別最適化) | 会社全体 (全体最適化) |
主な目的 | 特定業務の効率化、 専門性の追求 | 経営資源の一元管理と可視化、 業務効率化や迅速な経営戦略の立案 |
データ管理 | 各システム内で独立して管理されがち | 1つのデータベースで統合的に管理 |
ただし、LaKeel HRのような最新の人事基幹システムは進化しています。人事領域内において、採用から育成、評価、配置までのデータを完全に一元管理し、戦略的なタレントマネジメントを実現する「統合型」の思想で設計されています。これは、ERPが持つ「統合」のメリットを、人事という専門領域で最大限に発揮させる先進的なアプローチと言えます。
人事基幹システムを導入する6つの目的

人事基幹システムは、単なる業務効率化ツールにとどまりません。企業の成長を支える戦略的な基盤として、主に以下の6つの目的で導入が進んでいます。
目的1:人事・労務業務の効率化と自動化
給与計算、勤怠管理、社会保険手続きといった定型業務は、多くの工数を要するだけでなく、人為的なミスが発生しやすいという課題があります。人事基幹システムを導入することで、これらの反復的な業務を自動化し、作業時間を大幅に削減します。その結果、人事担当者を単純作業から解放し、制度設計や人材育成といった、より創造的で付加価値の高い業務へシフトさせることが可能になります。
目的2:従業員情報の一元管理とデータの可視化
多くの組織では、従業員のスキルや経歴といった人材情報が、複数のExcelファイルや紙の書類に散在し、一元管理できていないケースが少なくありません。これでは、必要な情報を迅速に取り出すことが困難です。人事基幹システムを導入すれば、従業員の基本情報から評価、スキルセットまでを一元的に管理し、組織全体の人的資源を正確に把握できます。これにより、データに基づいた迅速な意思決定を支える基盤が整います。
目的3:戦略的人事(タレントマネジメント)の実現
従来の人事評価や人材配置は、担当者の経験や感覚に頼りがちで、客観的なデータに基づいた意思決定が難しいという側面がありました。人事基幹システムに蓄積されたデータを活用することで、優秀な人材の発掘や適材適所の人員配置、さらには次世代リーダーを育成するサクセッションプランなどを、客観的な根拠に基づいて計画的に実行できます。これにより、企業の持続的な成長戦略を人事面から強力に後押しします。
目的4:法改正への迅速な対応とガバナンス強化
働き方改革関連法やマイナンバー制度など、人事労務に関連する法改正は頻繁に行われます。これらの変更に迅速に対応できなければ、コンプライアンス上のリスクを抱えることになります。クラウド型の人事基幹システムの多くは、法改正に合わせて自動でアップデートされるため、企業は常に最新の法令に準拠した状態を維持できます。また、従業員情報へのアクセス権限を厳密に管理することで、情報セキュリティを強化し、企業の内部統制(ガバナンス)を確立することにも繋がります。
目的5:従業員エンゲージメントの向上とコミュニケーションの活性化
従来の人事システムは、主に人事部門の業務効率化に焦点を当てていましたが、現代の人事基幹システムは従業員エンゲージメントの向上にも重要な役割を果たします。セルフサービス機能を通じて、従業員は自身の情報管理や各種申請を主体的に行うことができ、組織との一体感を醸成します。また、定期的な1on1ミーティングの管理や即時フィードバック機能により、上司と部下のコミュニケーションが活性化され、パフォーマンスの向上やキャリア形成の促進につながります。さらに、目標管理制度(MBO)や目標と主要な結果(OKR)などの目標管理システムを統合することで、個人の目標と組織の目標を連携させ、従業員の意欲と生産性を高めることができます。これらの機能により、従業員の満足度と定着率が向上し、組織全体のパフォーマンス向上に寄与します。
目的6:多様な働き方への対応と柔軟な人材活用
近年、在宅勤務や時差出勤など、働き方の多様化が急速に進んでいます。こうした変化に対応するため、人事基幹システムも進化を遂げています。場所や時間にとらわれない勤怠管理機能により、在宅勤務者や時差のある海外拠点の従業員も含めた正確な労働時間の把握が可能になります。また、オンライン協働ツールとの連携により、分散した従業員間のコミュニケーションや業務の進捗管理を効率化します。さらに、AIを活用したスキルマッチング機能を導入することで、プロジェクトベースの柔軟な人材配置や、副業・兼業人材の効果的な活用も実現できます。これらの機能は、従業員のワークライフバランスを向上させるだけでなく、企業の人材活用の幅を広げ、組織の柔軟性と競争力を高めることに貢献します。
人事基幹システム導入のメリット
人事基幹システムを導入した場合のメリットとしては、次の3つがあります。

●戦略人事の推進
人事基幹システムの導入によって、戦略人事が推進しやすくなります。戦略人事とは、経営戦略に基づき、人材配置や育成、採用等の人事機能を活用して戦略を実現することです。人事基幹システムによって経営に必要な人材データが蓄積され、必要なデータを迅速かつリアルタイムに確認できます。これにより、戦略人事のPDCA(Plan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善))を回し、経営の意思決定スピードを向上させることができます。
●人事業務の効率化
人事業務の効率化にもつながります。人事基幹システムで人事データを管理すれば、人事業務に必要な情報が一元化され、従業員の申請や人事発令をもとにデータ更新を行うことができます。迅速な人事業務の推進に役立つでしょう。また複数の人事系SaaS(※)システムで業務をする場合、マスターデータの更新やデータ組み合わせによる分析の際には、ある程度、手作業が発生しますが、基幹システムを利用すればシステムの中で完結することができます。
※SaaS:「Software as a Service」の略称。サービス提供事業者が用意したサーバー側で稼働しているソフトウェアをインターネット経由などで利用する形態。
●人事業務の標準化
担当の社員だけが行っていた業務も、人事基幹システム導入によって、作業手順が可視化されれば、属人化が解消される可能性があります。昨今、人事基幹システムには、業務の担当者や納期を管理・可視化できるものも出てきており、業務の標準化が実現しやすくなっています。業務の標準化によって、人事部内の業務担当ローテーションも行いやすくなります。
失敗しない!自社に合った人事基幹システムの選定ポイント5選

数ある人事基幹システムの中から、自社に最適なものを選ぶためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。ここでは、導入を成功に導くための5つの選定ポイントを解説します。
ポイント1:自社の課題と導入目的が明確か
まず最も重要なのは、「なぜシステムを導入するのか」という目的を明確にすることです。「煩雑な事務作業を効率化したい」「優秀な人材の育成と配置を最適化したい」など、自社が抱える課題を洗い出し、導入によって何を達成したいのかを言語化しましょう。目的によって必要な機能や重視すべきポイントは大きく異なるため、事前に優先順位を整理しておくことが、最適なシステム選定への第一歩となります。
ポイント2:必要な機能の網羅性と拡張性
勤怠管理、給与計算、人事評価、タレントマネジメントなど、自社の業務に必要な機能が標準で備わっているかを確認しましょう。また、現在のニーズを満たすだけでなく、将来的な従業員数の増加や新たな人事制度の導入にも対応できる拡張性・柔軟性を備えているかも重要な視点です。長期的な視点で、企業の成長に合わせてシステムもスケールできるかを見極めましょう。
ポイント3:既存システムとの連携性
人事基幹システムは単体で完結するものではありません。すでに社内で利用している会計システムや販売管理システム、グループウェアなどとスムーズにデータ連携できるかは、業務効率を左右する非常に重要なポイントです。API連携などが可能で、データが分断されることなく一元管理できるかを確認しましょう。データの二重入力の手間や情報の不整合を防ぐことに繋がります。
ポイント4:操作性(UI/UX)と従業員への浸透しやすさ
この種のシステムは、人事担当者だけでなく、申請や情報閲覧のために一般の従業員も日常的に利用します。そのため、誰にとっても直感的で分かりやすい操作画面(UI/UX)であるかどうかは、導入後の定着を成功させる鍵となります。多くのベンダーが無料トライアルやデモを用意しているため、実際に複数の担当者で触ってみて、操作感を確かめることを強く推奨します。
ポイント5:セキュリティとサポート体制
人事基幹システムは、従業員の個人情報という極めて機密性の高い情報を取り扱います。そのため、堅牢なセキュリティ対策が講じられているかは必須の確認項目です。データの暗号化、不正アクセス防止策、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得などをチェックしましょう。また、導入時の設定支援はもちろん、運用開始後に問題が発生した際のサポート体制が充実しているかも、安心して利用し続けるために不可欠な要素です。
戦略人事を推進する人事基幹システム「LaKeel HR」とは?
戦略人事を推進するための人事基幹システムとしておすすめなのが、ラキールが提供するLaKeel HRです。
LaKeel HRは、発令、給与、勤怠などの基本的な人事データだけでなく、評価や従業員サーベイ管理まで一元管理できる統合型の人事基幹システムです。
また管理できるだけでなく、集めたデータから柔軟な分析が行えるので、人事戦略に基づく施策の実行もスムーズに行うことが可能です。
必要な機能に関しては貴社独自のカスタマイズに対応可能で、導入時のサポートも充実しています。
まとめ
人事基幹システムは、導入することで人事業務の効率化のほか、戦略人事の推進にも役立つシステムです。導入後は、どのように役立てるかが重要といえます。
またLaKeel HRは、戦略人事を推進する際におすすめの人事基幹システムです。
ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
●LaKeel HRのサービス資料は こちらよりダウンロードいただけます。











