人事データの分析方法とステップを解説 メリットや事例もご紹介
昨今の人事をとりまく状況の変化を受け、人事データの分析に取り組みに試行錯誤していらっしゃる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、課題解決の一助となるよう、人事データの分析が注目されている背景や分析方法、分析によるメリット、事例をご紹介します。
目次[非表示]
- 1.人事データ分析とは?注目される背景
- 2.人事データ分析の目的
- 2.1.企業全体の生産性の向上する
- 2.2.将来的なリスクを予測して組織改革する
- 3.人事データ分析によって得られるメリット
- 4.人事データ分析を取り入れるうえでの課題
- 5.人事データ分析の成功事例
- 5.1.客観的な評価が可能になり、最適な人事戦略の策定や検証を実現
- 5.2.優秀な人材の育成・定着・離職率の低減
- 5.3.採用活動の精度向上・プロセスの改善
- 5.4.社員のパフォーマンス・モチベーションの向上
- 5.5.経営層や事業部門の組織長の実行力アップ
- 6.人事データ分析のステップ
- 6.1.タレントマネジメントツール
- 6.2.分析ツール
- 6.3.人事システム
- 7.他社システムやエクセルのデータを統合して分析できる 「LaKeel HR」
- 8.まとめ
人事データ分析とは?注目される背景
近年、人事データ分析の必要性が高まっています。その背景として、次のことが挙げられます。
戦略人事の推進
労働人口の減少を受け、より少ない人員で成果を出す、生産性向上の必要性が高まっています。また、近年は経営資源である「ヒト」の価値の最大化のために経営戦略と連動した人事戦略を策定・実行する「戦略人事」も注目されています。人事データ分析によって、社員の適材適所の配置や社員一人一人に適した育成などを実施できることで、生産性向上と共に戦略人事が推進できるようになります。
「ISO30414」など人的資本の透明性を高める必要性
2018年12月に国際標準化機構(ISO)によって人的資本に関する情報開示のガイドライン「ISO30414」が発表されました。これを受け、国内でも人的資本に関する情報の透明性を高める動きが活性化しており、今後は女性比率や平均残業時間等の情報開示が、企業のレピュテーション(評判)につながっていくと見られています。そのため、各者は情報開示に向け、人事データの整備に力を入れ始めており、そのために人事データ分析の必要性も高まっています。
AIやRPA等の技術の進展により人事データ分析が容易に
近年、AIやRPAといった自動化ツールによる業務効率化の進展の波が起きていることを受け、データ分析の自動化も進んでいます。人事データ分析もツールを用いて容易に実施できるようになっています。
今後は、「戦略人事」や「人的資本経営」が注目されていることを背景に、人事データ分析の必要性がますます高まっていくでしょう。
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人事データ分析で必要なデータの項目例
人事データとは、人事業務や社員の日々の業務の中で生まれる、人材に関するデータ全般を指します。人事データ分析をするためには、目的に合わせて必要となる項目が異なります。具体的には、人事データ分析には以下のような項目を収集する必要があります。
- 基本情報(氏名、住所、生年月日、経歴、キャリアなど)
- 組織情報(職務内容、所属、雇用区分、異動履歴など)
- 勤怠情報(残業状況、始業・退社時間、遅刻・早退・欠勤など)
- 給与情報(給与、賞与、手当、インセンティブなど) etc…
これらの人事データを集約して管理したうえで、企業戦略に合わせたデータドリブンな人事戦略を行うために実施する分析を「人事データ分析」と呼びます。
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人事データ分析の目的
人事データ分析の目的は、従業員や会社全体の課題を客観的なデータで把握し、適切に対処することです。
経営者や人事幹部などの経験と勘ではなく、データをもとに戦略的人事を推進することで、従業員や企業の課題を適切に解決する事ができます。
具体的な人事データ分析の目的としては以下の2つを挙げられます。
企業全体の生産性の向上する
人が集まって成り立っている企業にとって会社全体の生産性は、従業員の仕事環境や満足度、知識レベルなどによって変化します。従業員を対象にしたデータを取得し分析することで、企業が抱える認識を明確にすることができます。また、分析したデータを活用することで課題解のヒントを得ることも可能です。人事データ分析によって生産性に大きく影響している要素を見出し、従業員や会社全体の生産性の改善を図ることができます。
将来的なリスクを予測して組織改革する
人事データ分析により、将来的なリスクを予測することも可能です。例えば、従業員の満足度調査の結果、若手従業員のモチベーションの低いことが明らかになった場合、年功序列体制から職能等級体制への組織改革をすることで、若手社員を適切に評価する体制を解説手段として検討することができます。将来的なリスクに対処するための組織改革を早期に発見することができます。
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人事データ分析によって得られるメリット
人事データ分析を行うことで得られるメリットは多岐にわたりますが、具体例として以下の3つを紹介します。
採用プロセスの改善
高いパフォーマンスを出している既存社員の共通点を分析することで、自社にとって優秀な社員となりえる人材の採用要件を明確化することができます。これにより自社に適した優秀な人材を効率的に採用することができます。
退職の防止
従業員の労働時間やストレス状態などを調査・分析することで、退職リスクの高い従業員を見つけ、早期のフォローやエンゲージメントを向上させる施策を講じることが可能です。
適性な人材配置
社員の適性やスキルを分析し、各部署に求められる特性と照らし合わせることで、社員を適材適所に配置することが可能になり、組織の生産性向上が期待できます。
人事データ分析を取り入れるうえでの課題
人事データ分析を取り入れるうえで障壁となる、よくある課題を経営視点と人事部の現場視点でご紹介します。
経営視点の課題としては、データ分析の目的が明確になっていない、分析をするためのデータ基盤が整っていないなどが挙げられます。
人事部の現場視点の課題としては、データ基盤はあるものの分析方法が分からない、データ分析をしたものの活かし方が分からない、データ分析できる人材がいない、データ分析・活用する担当者の属人化が進んでしまうなどが挙げられます。
人事データ分析の成功事例
人事データを分析することは、企業にとって多数のメリットが期待できます。そこで実際に人事データ分析を実施した事例について、得られたメリットごとにご紹介します。
客観的な評価が可能になり、最適な人事戦略の策定や検証を実現
ある企業は、AIを用いて人材データを分析するツールを活用し、社員の職種適正やタイプ、経歴や勤怠情報などの人材データを分析した結果、勘や経験に頼らない客観的な人材配置を実現できました。
【ポイント】
人事データ分析を取り入れることにより、従来からある主観的な評価や、一部の人材への偏った評価などがなくなることで、データをもとにした客観的な評価が可能になり、最適な人事戦略の策定や検証が行えるようになります。
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優秀な人材の育成・定着・離職率の低減
ある企業は、離職率を下げるために、人事担当者と退職者一人一人の面談を実施した上で、退職理由を細かくヒアリングしました。その後、ヒアリングした内容をデータ化し、部署や職種、年齢、地域等で分析を実施した結果、離職が多い部署や年齢などをある程度見えてきました。また、退職理由として多くの退職者に共通している考えに至っていないかを確認し、予防するために、上司と部下の1on1面談等でデータを活かしています。
【ポイント】
人事データ分析により、社員一人一人に合った育成プランが立てられるようになり、優秀な人材の育成・定着につながります。また、離職者の人事データの分析を通して、離職の要因や傾向を導き出すことができます。それをもとに、社内制度や待遇の見直しなど改善策も立てやすくなることで、離職率を低減します。
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採用活動の精度向上・プロセスの改善
ある企業では、蓄積した人材データを分析し整理したものと、採用の際に応募者に実施している適性検査の結果を照合させ、組織とのマッチング度や活躍予測を分析しました。結果、応募者のミスマッチを軽減させることに成功しました。
【ポイント】
従来の採用プロセスの属人化や不均等な採用基準などの課題があれば、人事の採用データを分析・活用することで、均一化した採用へと改善できます。加えて、自社に貢献する人材定義も可能になり、採用した人材のミスマッチを軽減させることで効率的な採用活動につながります。
社員のパフォーマンス・モチベーションの向上
ある企業は、全社員に対してサーベイを実施し、データ分析を実施したところ、入社3年目の層にエンゲージメント低下が見られました。エンゲージメントはパフォーマンスやモチベーションに関係する指標の一つです。要因を調査したところ、職務内容と責任、報酬に乖離があったことを発見し、報酬の見直しや教育実施などの改善施策を立てることができました。
【ポイント】
人事データ分析によって、社員のパフォーマンスや適性に合ったキャリアを的確に把握し、管理者層との面談などを通じて、よりパフォーマンスアップ・モチベーション向上に結びつけることができるでしょう。また、社員の人事データ分析により、エンゲージメントへの影響要素も可視化されることで、従業員満足度・モチベーション向上が期待できます。
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経営層や事業部門の組織長の実行力アップ
ある企業は、近々社員が一斉に退職するリスクが判明したため、人事データ分析結果をもとに退職リスクの高い社員の傾向を特定したところ、勤続年数の長い社員であることが判明。該当する社員に不満をヒアリングした結果をもとに人事制度改革を行ったことで、一斉退職リスクを回避できました。
【ポイント】
経営層や事業部門の組織長にとっては、人事データ分析の結果を随時確認することで、意思決定のスピードアップと客観性向上につながります。人事部門の戦略もデータ分析に基づく提案であれば、納得度・実行力が高まります。
今後は、データを用いた客観的指標で、社員一人ひとりのエンプロイーエクスペリエンスを向上させ、「戦略人事」や「人的資本経営」を実現できると考えられます。
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人事データ分析のステップ
人事データ分析は次のステップで進めるのが一般的です。
1.目的、仮説の設定
まずは自社が抱える課題を明確にして、「何を目的に人事データ分析を行うのか」の仮説を立てましょう。目的や仮説を検討しないまま人事データを取得しても、担当者の負担が大きくなるだけで、望む結果を得られないでしょう。
2.人事データを社内で集める
設定した目的や仮説に沿って、どのような人事データが必要かを検討しましょう。個々の従業員を対象にデータを取得するため、基本情報や人事評価、職務内容、勤務状況など、人事データをどのような手法で収集するかも検討する必要があります。
3.データを整えて人事データベースを構築
集めたデータから人事データベースを構築しましょう。データベースを構築する際は、分析しやすい設計にすることが重要です。
4.データを分析し活用する
最初に立てた仮説と比較して、課題の実態を分析しましょう。その結果をもとに、改善のためのアクションを検討します。
目的と仮説を設定した後は、社内に散在する人事データを数多く収集し、データ整形を行い分析できる状態に整えます。その上で、データ分析を行っていきます。
効率的に人事データ分析をするためには、次のようなシステムの活用がおすすめです。
タレントマネジメントツール
タレントマネジメントツールは、社内人材の情報を一元的にデータベース上で管理し、データ分析機能を通して人材配置・育成に役立てられるツールです。
分析ツール
分析ツールとは、エクセルをはじめとした分析機能が備わるツールの総称です。難易度はさまざまで、分析を行う人員に適したレベルのものを選ぶ必要があります。
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BIツール
BIツールとは「Business Intelligence」ツールのことで、経営意思決定のためにあらゆる社内データを一元的にデータベース上で管理し、データ分析機能を用いて分析し、分析後の結果は表やグラフなどで可視化できるのが特徴です。
人事システム
人事システムとは、本来は人事業務を遂行するためのツールですが、最近は、社内人材の人事情報を一元管理し、人事データ分析の機能を備えるものもあります。基本情報だけでなく、広い人材データの種類を取り扱えるシステムである必要があります。
ツール選定は目的を設定した後に行い、目的に合うツールを選ぶことがポイントです。
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他社システムやエクセルのデータを統合して分析できる 「LaKeel HR」
最後に、人材データ分析におすすめの人事システムをご紹介します。それは総合的な人事データ分析を柔軟に行える、大手・中堅企業向けの統合型人事システムである「LaKeel HR(ラキール・エイチアール)」です。
LaKeel HRなら、エクセルで管理している人事データを取り込むことはもちろん、すでに導入している他社システムのデータもAPIでつなぐことで手軽に連携することができます。
基本的な人材データ管理を行うことができ、人事情報のデータベースを構築します。経営的な視点で人材マネジメントを可能にする、多様な人事データ分析機能を備えます。あらゆる人事データを集約し、分析・可視化できることから、各種人事施策のみならず、経営戦略に活用できます。
LaKeel HRでは、採用分析、人事評価分析、サクセッションプラン、退職リスク予測など多様な人事データ分析が可能です。
経営戦略と人材マネジメントを連動させる「戦略人事」の実行を強力にサポートする、まさに人事データ分析に適したツールです。
まとめ
人事データ分析は、企業に数多くのメリットを生み出すうえに、昨今求められる戦略人事と人的資本経営に欠かせない取り組みです。
まずは目的を明確に定めた上で社内の人材データベースを構築し、人事システムなどによるデータ分析が実施できる環境整備を行っていきましょう。