戦略人事に欠かせない人事DXとは?施策やメリットもご紹介
近年の技術革新などを背景にデジタル化が急速に進む一方で、ビジネス領域においては既存システムの老朽化や消費マインドの変化などの環境変化を受け、ただのデジタル化に留まらないDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められています。それは人事領域においても例外ではありません。
今回は、人事DXの概要から具体的な施策例、人事DXを推進することの効果やメリットをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.人事DXとは?
- 1.1.戦略人事と人事DXの関係
- 2.人事DXの施策例
- 2.1.1.デジタイゼーション
- 2.2.2.デジタライゼーション
- 2.3.3.デジタルトランスフォーメーション
- 3.人事DXの効果・メリット
- 3.1.データに基づく戦略立案・施策の実施
- 3.2.最適な人材配置の実現
- 3.3.人事評価への公平性と納得感の向上
- 3.4.人事データの蓄積による将来的な利活用推進
- 4.人事DXの進め方
- 4.1.1.現状分析と目標設定
- 4.2.2.技術選定
- 4.3.3.プロジェクトチームの編成
- 4.4.4.パイロットプロジェクトの実施
- 4.5.5.効果測定とフィードバック
- 4.6.6.全社展開
- 4.7.7.継続的な改善
- 5.まとめ
人事DXとは?
人事DXとは、人事領域のDXのことで、「HRDX」とも呼ばれます。
DX(Digital Transformation/デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を用いて新しい製品やサービス、ビジネスモデルを通じて顧客価値の変革を図ることで新たな価値を創出し、競争優位性を確立することを指します。DX化に至る道筋においては、業務はもちろん組織や企業文化までも変革することが求められています。
DXにはアクションの段階としてデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションという3つの異なる段階があることが、経済産業省の「DXレポート2(中間取りまとめ)」にまとめられています。
・デジタイゼーション:
既存の紙やアナログのプロセスを自動化するなど、社内における物理データの単純なデジタルデータ化のこと。
・デジタライゼーション:
組織のビジネスモデル全体を一新し、社内だけでなく外部環境やビジネス戦略も含めたプロセス全体をデジタル化すること。
・デジタルトランスフォーメーション:
全社的な業務・プロセスのデジタル化、および顧客起点の価値創造のために事業やビジネスモデルを変革すること。またその変革を通じて社会制度や組織文化なども変革していくような取り組み。
人事DXでは、人事業務においてデジタル技術とデータを用いた分析などを通じて 業務効率化や人事戦略を進め、人事領域における変革を目指します。人や組織の変革により、経営戦略を実現することが人事DXの最終目標となるでしょう。
戦略人事と人事DXの関係
近年、多くの企業で戦略人事が進められています。戦略人事とは「経営戦略や事業戦略と連動した人事戦略を策定し実行すること」を指しており、経営戦略を実現するための手法の一つです。
人事DXとの関係を考えたときには、戦略人事と人事DXは同時に進めるべきといえます。なぜなら、人事DXへの取り組みが進むことで、人事業務のペーパーレス化や人事業務プロセスのデジタル化はもちろん、タレントマネジメントやピープルアナリティクスなど、データを活用した人事戦略を合わせて 実施していくことで、効果的な変革を迅速に実現することができ、データドリブンな戦略的人事を推進できるようになるでしょう。
人事DXの施策例
人事DXを推進する具体的な施策の例を、DXの段階別にご紹介します。
1.デジタイゼーション
紙ベースの業務をデジタル化することが該当します。例えば紙のタイムカードを勤怠管理システムでデジタル化し、労務管理システムや給与計算システムと連動させ、一連業務のデジタル化を図ります。
2.デジタライゼーション
ピープルアナリティクスの実施による組織の課題解決が該当します。
ピープルアナリティクスとは、年齢や入社年月、所属部署などのほか社内における行動、評価、スキル、サーベイ結果などのあらゆる人材データを分析し、人事領域におけるさまざまな課題把握や施策の検証や意思決定に役立てる手法です。
例えば、異動後の従業員のパフォーマンスの変化についてスキルデータをもとにシミュレーションして確認し、最適な人材配置に活かしたり、システムを活用した従業員サーベイの実施により従業員満足度を可視化したりすることを指します。
このような取り組みにより、結果的に人や組織課題の解決につなげることができれば、デジタライゼーションのアクションとなります。
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3.デジタルトランスフォーメーション
AIの活用やデジタルによる働き方の変革が該当します。
例えば、採用候補者のマッチングやプロセスの最適化、パフォーマンス予測などにAIや機械学習を活用することで、より高度な人事施策や業務改善を検討することが効率的に実施できるようになります。
また、リモートワークやフレックスタイム制度の導入と、コミュニケーションツールやプラットフォームの活用などのデジタルツール活用を合わせて整備することで、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実現し、生産性の向上をめざすことで、働き方における変革を実現することもできます。
人事DXの効果・メリット
人事DXを推進することは、どのような効果やメリットがあるのでしょうか。主に次のことが期待できると考えられます。
データに基づく戦略立案・施策の実施
人事DXに取り組むことで必然的にデジタル化やデータ活用基盤が作られることから、データに基づく判断が可能になります。ただ漠然と施策を検討するのではなく、勘や経験に頼らない客観的なデータに基づいた人事施策を、戦略的に立案していくことができます。
最適な人材配置の実現
あらゆる人材データを活用することができるようになれば、最適な人材配置や人事評価の実現につながります。主観的な配置はミスマッチを生み出し、組織に対する貢献につなげられません。データを判断材料とすることで根拠のある戦略的な人材配置を実現し、生産性向上につなげられるでしょう。
人事評価への公平性と納得感の向上
人事評価の判断にデータを加えることで信憑性が増し、公平性が生まれます。その結果、従業員の納得感を得られやすくなると考えられます。
人事データの蓄積による将来的な利活用推進
人事DXによりデータ利活用の基盤が構築され、データが蓄積されていくことで、将来的に様々な人事施策にデータを活用していくことができるでしょう。
人事DXの進め方
人事DXの推進を行うためのステップは以下の通りです。
1.現状分析と目標設定
まず、現状の人事業務の課題やボトルネックを洗い出します。次に、デジタル技術を導入することで達成したい目標・目的(例:業務効率化、戦略的意思決定)を設定します。
2.技術選定
目標達成に必要な技術を選定します。例えば、クラウドベースのHRシステム、AIを活用した採用ツール、ビッグデータ解析ツールなどが考えられます。
3.プロジェクトチームの編成
人事部門だけでなく、IT部門、経営層、現場の意見を取り入れるためのプロジェクトチームを編成します。多様な視点を取り入れることで、より実効性の高いDXが進められます。
4.パイロットプロジェクトの実施
いきなり全社導入するのではなく、まずは一部の部署や業務でパイロットプロジェクトを実施します。これにより、問題点や改善点を早期に発見し、リスクを最小限に抑えることができます。
5.効果測定とフィードバック
パイロットプロジェクトの結果を評価し、目標達成度や課題を確認します。このフィードバックをもとに、技術やプロセスの改善を行います。
6.全社展開
パイロットプロジェクトで得た知見を基に、全社展開を計画します。この際、従業員への教育やサポート体制を整えることが重要です。適切な人材育成により新しいシステムやプロセスに対する抵抗を減らし、スムーズな移行を実現します。
7.継続的な改善
DXは一度実施して終わりではありません。継続的にデータを収集・分析し、業務プロセスの改善を図ります。技術の進化やビジネス環境の変化に対応し続ける姿勢が求められます。
以上のステップを踏むことで、人事DXを効果的に進めることができます。デジタル技術を活用することで、人事業務の効率化だけでなく、戦略的な人材マネジメントが可能となります。
まとめ
人事DXの概要や施策例、効果・メリットをご紹介しました。人事DXを推進することで、人事部門のオペレーション業務が効率化し、創造的な業務に注力できる環境が生まれます。そして、戦略人事の推進を加速させていくことができます。
人事DXを推進するにあたり、人事データの集約やデータ利活用におすすめなのが人事システムの導入です。「LaKeel HR」は、人材管理・データ分析・施策実行までを一つのシステムでまるごと管理できることから、人事DXを効率的に進めることが可能です。ぜひご検討ください。