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人事戦略とは?戦略人事との違いも解説!

近年、ビジネスにおいてめまぐるしく変わる市場を背景に企業の人事戦略においても大きな変化が迫られ、見直しを図る企業が増えています。
目の前の人事課題に対して戦略を立てた上で施策を実施し、解決へと進めていくことが求められています。
今回は、人事戦略の概要や求められる背景、また近年、多くの企業が注力しはじめている戦略人事との違いを解説します。


目次[非表示]

  1. 1.人事戦略とは?
  2. 2.人事戦略が求められる背景
    1. 2.1.雇用の流動化
    2. 2.2.タレントマネジメントの実施のため
    3. 2.3.生産性の向上
  3. 3.人事戦略実行の基本フロー
  4. 4.人事戦略と戦略人事との違い
    1. 4.1.戦略人事とは?
    2. 4.2.戦略人事と人事戦略の違い
    3. 4.3.戦略人事において人事戦略は連動している
  5. 5.戦略人事において人事戦略を立案する方法
    1. 5.1.企業理念、ビジョン、経営戦略の確認
    2. 5.2.人事戦略の策定
    3. 5.3.具体的な人事施策の実施・運用
  6. 6.まとめ



人事戦略とは?

人事戦略とは、社内に生じているさまざまな人事課題を解決へと導くための戦略のことを指します。

企業の経営資源は「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」が主といわれますが、そのうちの一つ「ヒト」、つまり従業員なくして、業績や企業価値を上げることはできません。

そこで企業という組織全体の価値向上に向けた生産性向上、売上拡大などを目的として、人事課題を解決するために戦略を立てて、個別施策に落とし込んで解決へと進めていく動きが高まっています。



人事戦略が求められる背景

なぜ人事課題を戦略的に解決していくことが必要になっているのでしょうか。その主な背景として、次のことが挙げられます。


雇用の流動化

終身雇用制度や年功序列制の時代は終焉し、同じ企業に長く務めることよりもスキルや経験が重視され、雇用の流動化が進んでいます。転職が当たり前となっている現状において、企業はいかに優秀な人材を確保するかということに注力しなければならなくなりました。そのため、戦略的に優秀な人材の確保に取り組むことが重要になっています。


タレントマネジメントの実施のため

タレントマネジメントとは、従業員一人ひとりが持っている能力を把握し、その能力を最大限発揮できる人材配置や教育を行う米国発祥の人事戦略です。人事システムの導入により、人事データの収集や活用が行いやすくなったことも背景に世界的に広がっており、日本でも取り入れる企業が増えています。このタレントマネジメントの浸透により、自ずと人事について戦略的に取り組む流れが起きています。

関連記事|戦略人事に基づく人材教育のポイントと手法とは?


生産性の向上

国内では労働力人口の減少から人手不足が深刻化しており、働き方改革やDX推進などあらゆる面で業務効率化や生産性向上が必要不可欠となっています。生産性向上を目指す施策の一つとして人材教育や最適な人材配置、それらに向けた適切な人事評価によるスキルの把握など、人事施策が重要視されています。より成果を出すために、戦略的に施策を行うことが求められているといえるでしょう。


人事戦略実行の基本フロー

人事戦略の実施フローは、企業の目標達成と組織の健全な成長を支えるために重要です。以下にその主要なステップを説明します。

1.現状分析
企業の内部環境と外部環境を評価し、現行の人事制度や社員のスキルセット、組織文化、労働市場の動向などを把握することから始まります。この段階で収集したデータは、次のステップでの意思決定に役立ちます。

2.目標設定
企業のビジョンやミッションに基づき、具体的な人事目標を設定します。これには、採用計画、社員の育成、評価制度の見直しなどが含まれます。目標はSMART(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)な基準に基づいて設定することが推奨されます。

3.戦略策定
目標を達成するための具体的なアクションプランを作成します。採用プロセスの改善、トレーニングプログラムの導入、キャリアパスの明確化、報酬制度の見直しなど、どのように業務見直しを行うのかも含め検討します。また、各アクションの優先順位を決め、リソースの配分計画も立てます。

4.実行
策定したプランを具体的に実施します。ここでは、各部門との役割分担や連携が不可欠です。例えば、採用活動ではHR部門と現場のマネージャーが協力し、適切な人材を見つけるためのプロセスを共有します。トレーニングプログラムの実施では、外部の専門家を招くこともあります。

5.評価とフィードバック
戦略の効果を測定し、必要に応じて修正を加えるためのステップです。KPI(Key Performance Indicators)を設定し、定期的に進捗を確認します。フィードバックは、従業員のモチベーション維持や社員からの意見や市場の変化を反映させるために重要です。

6.継続的な改善
人事戦略は一度策定して終わりではなく、常に見直しと改善が求められます。環境の変化や新たな課題に対応するため、定期的に戦略を再評価し、必要な調整を行います。

このように、現状分析から目標設定、戦略策定、実行、評価とフィードバック、そして継続的な改善という一連のフローを経て、人事戦略は効果的に実施されます。


人事戦略と戦略人事との違い

人事戦略というと、近年注目されている「戦略人事」という言葉と似ていることから、どのような違いがあるのか疑問に思うかもしれません。戦略人事は人事戦略とは異なる意味を持ちます。


戦略人事とは?

戦略人事とは、「経営戦略や事業戦略と連動した人事戦略を策定し実行すること」です。
 
あくまで経営視点で、企業が長期にわたって成長していくための戦略立案や組織改善を目的とする人事戦略です

関連コラム|戦略人事とは?企業事例や人事戦略との違いを解説


戦略人事と人事戦略の違い

戦略人事と人事戦略の大きな違いは、人事戦略が経営戦略とリンクしているかどうかにあります。
 
一般的な人事戦略は、人や組織の改善を起点に行います。結果的に、企業の生産性向上や成長に寄与することもあるでしょう。しかし目的はあくまでも人と組織の改善にあり、経営戦略に直接的に関与する意味は含んでいません。
 
人事戦略を実施する際に結果的に経営視点が盛り込まれることもありますが、主とする目的が異なるということです。


戦略人事において人事戦略は連動している

戦略人事と人事戦略はそれぞれ単独で行われるものではなく、常に連動しています。
 
企業が抱えている人事課題に対して、上流工程では経営戦略に沿った人事戦略を立案し、同時にその人事戦略を施策へ反映し実行、それらの成果や進捗を把握し、さらに改善を行うというサイクルをまわして戦略人事を実現していきます。

関連コラム|戦略人事を進めるのに役立つフレームワークとは?活用の注意点もご紹介



戦略人事において人事戦略を立案する方法

近年の市場変化に追随していくために、戦略人事への取り組みは必要不可欠になっています。そこで経営戦略と連動した人事戦略を立案する方法や流れをご紹介します。


企業理念、ビジョン、経営戦略の確認

まずは経営戦略と連動した人事目標を立てることが求められます。そのためあらかじめ企業理念、ビジョン、経営戦略を確認し、人事部門全体が理解しておくことが重要です。


人事戦略の策定

経営戦略に基づき人事戦略を策定します。人材ポリシーや人材ポートフォリオ、人材育成ロードマップを明確にしていきます。

人材ポリシー:
どのような人材を採用し、育成・配置・評価・処遇を行うべきかを定めた方針。

人材ポートフォリオ:
経営戦略に基づいて配置された人的資本の構成内容のこと。具体的にいうと、社内のどこに(場所)、どのような人材が(職種、スキルや特性)、どれくらい(人数や年数)いるかを示したものであり、これらを適切に組み合わせることで、経営や企業価値の最大化を目指します。

​​​​​​​人材育成ロードマップ:
従業員を理想の人材像へ育成するための道筋や手順。具体的には、社内研修だけでなく、必要な経験をどのような順番でさせるべきか、配置や海外出向なども含めてデザインします。 またスポンサーシップ制度などで誰をスポンサーにつけるべきか等も検討すべき要素です。


具体的な人事施策の実施・運用

経営戦略に沿って綿密に定めた人事戦略をもとに、一つ一つの人事施策を実施し、運用していきます。運用フェーズでは経営戦略とずれがないかを常に確認し、人事施策を実施していくことが重要です。


まとめ

人事戦略の概要や戦略人事との違い、戦略人事と連動した人事戦略の立案方法をご紹介しました。
 
戦略的に人事施策を推し進めることは必要不可欠となっています。そのためには社内の人事データの整備は急務といえます。
 
社内の人事データを一元管理することができる人事システムは、人事戦略を効率的に立て、実行するのに有効です。統合型人事システム「LaKeel HR」は、人材管理・データ分析・施策実行までを一つのシステムでまるごと管理することができるため、人事戦略および戦略人事を推進・実行するのに大きな助けとなります。


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