CoE(Center Of Excellence)とは?戦略人事との関係も解説!
昨今、組織内に「CoE(Center Of Excellence)」を導入する動きが業界問わず起きています。人事領域にも導入されており、近年取り組む企業が増えている「戦略人事」をより効率的に実施できることから、注目が集まっています。
今回は、人事領域におけるCoEの役割や戦略人事との関係、人事に取り入れるメリットを解説します。
目次[非表示]
- 1.CoE(Center Of Excellence)とは?
- 1.1.人事領域のCoEとは?
- 1.2.戦略人事とは?
- 1.3.戦略人事におけるCoE・HRBPとは
- 2.CoEの機能と役割
- 2.1.CoEは戦略人事の中心的な機能となる
- 2.2.CoEが果たす役割
- 3.人事領域におけるCoE導入のポイント
- 4.CoEを含めた戦略人事を推進する組織に変革するメリット
- 4.1.専門知識とスキルの集約による高度な人事戦略の実現
- 4.2.効率的なリソース利用
- 4.3.イノベーションと改善の促進
- 5.CoE導入のデメリット
- 6.まとめ
CoE(Center Of Excellence)とは?
CoEとは、「Center Of Excellence/センターオブエクセレンス)」の略称で、組織の中核となる部署や研究拠点のことを指します。もともとは大学に置かれた研究拠点を起源とする言葉であり、近年は企業においてもさまざまな業界や分野で設置が進んでいます。
業界や分野によってCoEの役割や構成員は異なりますが、トップレベルの人材やノウハウなどを持つ組織・グループとして企業内に設置されます。
人事領域のCoEとは?
人事領域におけるCoEは「中央の人事機能」を意味します。
給与体系構築の専門家、能力開発プログラム構築の専門家、採用分野の専門家など、各分野における専門家が集まり、経営的な視点から各種人事制度を開発します。
例えば、人事評価制度や報酬制度の構築や、人材育成プログラムの開発、人事システムの導入などを行います。
戦略人事とは?
そもそも、戦略人事とは「経営戦略や事業戦略と連動した人事戦略を策定し実行すること」を指します。
いくら優れた経営戦略や事業戦略があっても、それを実行するヒトがいなければ実現が難しくなります。 また、ビジネス環境の変化が激しい現代において、企業が競争優位性を確保し続けるには、変化に対応できる人材の獲得が求められます。そのためヒトを中心とした戦略的な人事に舵を切る必要性が生じており、国内企業において、組織的に戦略人事に取り組む流れが起きています。
戦略人事を推進するためには、経営戦略や経営ビジョンを明確にし、経営目標の達成に必要な人材像を定めた上で、必要な戦略を検討し、戦略に基づく制度設計や採用・人材育成の計画を行っていきます。
戦略人事におけるCoE・HRBPとは
経営戦略や事業戦略と連動した人事戦略を策定し実行する戦略人事の推進において、CoEは中心的な役割を担います。
またCoEは、現場での問題解決を担うHRBP(HR Business Partner)と呼ばれる立場の活動を支援する役割もあります。HRBPは、経営戦略や事業戦略に基づき、経営者や事業部長のパートナーとして、人事課題を解決するための戦略を構築し、企業や事業の成長をサポートしていく戦略人事のプロフェッショナルです。
従来の人事制度などの設計・運用や労務管理などをオペレーションとしてとらえ実行していた「オペレーション型人事」では、何らかの課題が生じた際にも、あくまで人事業務の改善を目的に動いていました。そのため、経営戦略や事業戦略と直接的につながってはいませんでした。
一方、CoEやHRBPが関わる戦略人事は、常に経営視点から市場競争で勝ち抜くための戦略として人事課題の解決を進めていく点で異なります。
CoEの機能と役割
CoEと戦略人事との関係を詳しくみていきましょう。
CoEは戦略人事の中心的な機能となる
人事領域のCoEは、戦略人事を支える中心的な機能となります。戦略人事における人事戦略は、経営視点で広い視野を持って立案されるべきです。その点、各分野のエキスパートが集まるCoEは組織横断的な集団であり、戦略人事を先導するのに理想的な立ち位置といえます。
またCoEが人事KPIを握り、随時フィードバックを行うことで、人事施策と経営戦略との連動性を保つことができます。
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CoEが果たす役割
CoE(Center of Excellence)の役割は、経営戦略に沿った全社横断の人事方針やプログラムを設計し、各部門へ定着させることです。まずHRBPから事業別の課題や成功事例を吸い上げ、外部ベンチマークや法改正情報と突き合わせて施策を企画します。実施後はHRBPと共に効果測定を行い、得られた知見を次の改善サイクルへ反映します。
CoEでは領域ごとに、専門的な人事領域、例えば人材開発、報酬管理、採用戦略、組織開発などに特化したチームを編成します。これにより、各領域での最新のトレンドや技術を取り入れ、組織のニーズに応じた最適な戦略を策定することが可能になります。例えば、報酬管理のCoEは市場調査を行い、競争力のある給与体系を設計することで、優秀な人材の獲得と維持を支援します。
さらに、組織内の他の人事部門やビジネスユニットと連携し、統一された人事ポリシーとプロセスを確立します。これにより、人事施策の一貫性が保たれ、組織全体での人材活用が効率化されます。また、CoEは人事データの分析を通じて、意思決定を支援するインサイトを提供し、経営陣がより戦略的な判断を下す手助けをします。
また、組織の文化や価値観を推進する役割も果たします。これにより、従業員のエンゲージメントを高め、組織の目標と一致した行動を促進します。戦略人事におけるCoEの役割は、単に人事業務を効率化するだけでなく、組織全体のパフォーマンスを向上させるための基盤を築くことにあります。
人事領域におけるCoE導入のポイント
戦略人事におけるCoE(Center of Excellence)の導入は、組織の人事機能を強化し、ビジネス全体のパフォーマンスを向上させる重要なステップです。以下にそのポイントを説明します。
1.目的の明確化
CoEを導入する際は、まずその目的を明確にすることが重要です。例えば、特定の人事領域(採用、育成、パフォーマンス管理など)の専門性を高めるためか、組織全体の人材戦略を統一するためかを明確にします。
2.専門性の確保
CoEは専門家集団として機能するため、各領域における高度な専門知識を持つ人材を配置します。これにより、最新のトレンドやベストプラクティスを取り入れ、組織に適した人事戦略を策定できます。
3.組織との連携
CoEは単独で機能するのではなく、他の人事部門やビジネス部門と密接に連携することが求められます。これにより、現場のニーズを的確に把握し、実効性のある施策を展開できます。
4.データ活用
データドリブンなアプローチを採用し、組織の人材に関するデータを分析して意思決定を行います。これにより、より効果的な人事施策の策定が可能になります。
5.継続的改善
CoEは一度設置して終わりではなく、常に改善と進化を続ける必要があります。外部環境や組織の変化に応じて、戦略や施策を見直し、最適化を図ります。
これらのポイントを押さえることで、CoEは組織の戦略的人材管理において中心的な役割を果たし、持続的な競争優位性の確保に貢献します。
CoEを含めた戦略人事を推進する組織に変革するメリット
CoEやHRBPなど、戦略人事に向けた組織変革を実現することで、人事部門にどのようなメリットが生まれるのか、今回はその中でもCoEによるメリットについてご紹介します。
専門知識とスキルの集約による高度な人事戦略の実現
CoEは特定の人事領域や機能に専門的な知識とスキルをもった人材を集中させるため、人事部門全体の専門性と専門知識の向上を促進することができます。これにより、高度な人事戦略やプロセスの構築と実行が可能になります。
効率的なリソース利用
CoEは専門的なリソースを集約し、効率的に活用します。これにより、HRBPの業務が効率化され、コスト削減や戦略人事に向けた施策実行に注力できるようになります。
イノベーションと改善の促進
CoEは新たなアイデアやイノベーションを探求し、人事戦略やプロセスの改善を促進します。これにより、人事部門は市場や組織の変化にも柔軟に対応できるようになり、組織全体の競争力の強化にもつながります。
CoE導入のデメリット
メリットの多い CoE ですが、導入時には下記のようなリスクを事前に把握しておくことで、設置・運用に伴うリスクを軽減できます。具体的には以下のリスクが考えられます。
①特定社員の負担が増える
CoEのメンバーが本来の業務と兼務するケースでは、負荷が集中して生産性が落ちるだけでなく、健康被害やモチベーション低下といった副作用も招くリスクがあります。
②管理コストの増大
高度専門チームを組成するため、人件費やシステム投資などの固定コストが増大します。
③機能不全のリスク
CoE の存在意義が全社に共有されていないと、せっかくの専門集団が「社内ヘルプデスク」へと矮小化されてしまうリスクがあります。また、本部に権限が集中しすぎると現場の裁量が縮小し、意思決定や施策推進のスピードが低下して形骸化する恐れもあります。
まとめ
近年、注目される人事領域のCoEの特徴や役割、戦略人事との関係などをご紹介しました。CoEの設置により、戦略人事が大きく前進する可能性があります。ぜひ参考にされてください。
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