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ピープルアナリティクスの事例5選 成果につなげるポイントは?

人事領域において、人材データを用いてさまざまな課題を解決するための分析の実践が進んでいます。これをピープルアナリティクスと呼びます。人的資本経営や戦略人事に取り組む企業が増えていることや、分析に活用できるツールの発展などを背景として、ピープルアナリティクスの取り組みは加速しています。
今回は、ピープルアナリティクスを実践して成果につなげている国内事例をご紹介しながら、成果につなげるポイントを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.ピープルアナリティクスとは?
    1. 1.1.ピープルアナリティクスの目的
    2. 1.2.ピープルアナリティクスが注目される理由
    3. 1.3.ピープルアナリティクス導入のメリット
  2. 2.ピープルアナリティクスの実施事例5選
    1. 2.1.新卒採用
    2. 2.2.人材育成・適正配置
    3. 2.3.退職予測
    4. 2.4.上司と部下それぞれの育成
    5. 2.5.ウェアラブル技術による幸福度の予測
  3. 3.ピープルアナリティクスを成果につなげるポイント
    1. 3.1.目的の明確化
    2. 3.2.必要なデータを検討し収集する
    3. 3.3.分析スキルを持った人材の確保
    4. 3.4.最適なピープルアナリティクスツール選定
    5. 3.5.社内に課題解決のための具体的な目標値を浸透させる
  4. 4.ピープルアナリティクスを円滑に進める人事システム「LaKeel HR」

ピープルアナリティクスとは?

ピープルアナリティクス(People Analytics)とは、人材に関する社内データを集めて分析し、その客観的なデータに基づき、採用や育成、配置、評価といった人事領域におけるさまざまな課題や目標に対する施策の立案、意思決定、経営戦略の実行などに役立てる手法です。
 
近年、データに基づく経営を推進することが必要不可欠な時代となっており、多くの企業がデータ活用を進めています。
 
ピープルアナリティクスは、人事領域におけるデータ活用に欠かせない取り組みといえます。詳しくは以下記事でも解説していますので、合わせてご参照ください。

関連記事|ピープルアナリティクスとは?~メリットや進め方を解説~

ピープルアナリティクスの目的

ピープルアナリティクスを社内で実践する目的は、企業の業種業態や人事業務領域によって異なります。例えば、採用におけるピープルアナリティクスでは、採用後のミスマッチを起こさない、自社に最適な優秀な人材を採用するといった目的で行われます。
 
勘や経験に頼らないデータに基づく分析結果をもとにした施策や意思決定は、効率的に成果に結びつく可能性が高いです。また主観的な意思決定ではなく、データに基づく公平で透明性の高い意思決定は従業員からの信頼性も向上します。
 
関連記事|ピープルアナリティクスとは?~メリットや進め方を解説~

ピープルアナリティクスが注目される理由

ピープルアナリティクスが各企業で注目されるに至った理由はいくつか挙げられますが、大きなものとしてはDX推進、人的資本経営の重視が挙げられます。

ビッグデータ活用は多くの業界・職種で取り組みが進んでいますが、企業が持つ従業員に関するデータも膨大であり、ビッグデータ活用プロセスを使うことで、これらのデータも定量的に分析できるようになりました。

人的資本経営については、特に2023年3月決算以降、有価証券報告書での人的資本の情報開示が義務化されたことが大きなきっかけとなりました。人材育成方針や社内環境に関する指標、女性管理職比率、男女間の賃金格差など、人材に関する多くのデータ開示を行う必要が生じました。データの提示とともに、対外的な説明や、これらデータをもとにどのような人材戦略を展開していくか等についても説明が求められるようになったといえます。

ピープルアナリティクス導入のメリット

ピープルアナリティクスを導入することで、ミクロな視点でいえば採用や異動時のミスマッチ防止、人材育成計画の効率化などを図ることができます。

マクロの視点でいくと、そもそもその前提である、人的資本経営の推進に大きく寄与します。従業員データの可視化で人材への投資効果を測定し、人的資源を最大化するよう経営戦略を立案し、より強靭な組織体制の構築を図ることができます。

ピープルアナリティクスの実施事例5選

ピープルアナリティクスは、実際にどのように成果につなげられているのでしょうか。ピープルアナリティクスを実施して成果につなげた事例を5つご紹介します。

新卒採用

ある電機メーカーは採用時に適性検査(SPI)の分析結果を、採用や人材育成に活かしています。過去10年分の学生のSPIデータを項目別スコアなどで分析し、人材像をタイプ別に定義しました。そのうち自社で活躍しているタイプを特定し、このタイプを積極的に採用する取り組みを行い、自社とのマッチングを図っています。またこの分析結果だけでなく、さらに個々人の潜在能力を見極めるなど人材の可能性を追求しています。

人材育成・適正配置

あるデジタルマーケティングを行う企業は、独自の人材育成方針のもとでピープルアナリティクスに取り組んでいます。従業員の成長は、個性と環境(チームと仕事)をかけあわせた結果、生み出されるという方程式を立てています。
 
成長の測定については独自のアセスメントを従業員に対して行い、スコアを取得。個人特性については理論的な診断を用いて5つの思考行動特性を表す因子を用いて、4つの性格タイプと特徴に分類しました。そして従業員それぞれの特性を活かしたチームや仕事に配置することでパフォーマンス向上を図っています。

退職予測

ある人材派遣会社は、データ分析を通して未来を予測し、先手を打つ人事を実現するために、勘や経験、度胸による人事ではなく、データ分析を取り入れています。その一環として、退職予測にピープルアナリティクスを用いています。
 
性別、年齢、勤続年数、職位滞留年数などの過去データから退職者と在職者を分類する予測モデルを構築。そのモデルから現在の従業員の状態から退職確率を予測します。この退職予測モデルは約90%の精度を実現しており、退職確率が高い人材との面談や研修導入に役立てられています。

上司と部下それぞれの育成

ある自動車部品メーカーは、人事改革に際して、上司の挑戦を支援するために、上司と部下の年3回の定期的な面談において、「面談の準備」と「振り返り」にデータを活用する施策を実施しました。
 
面談の準備では、約3,000人の管理職に対して研修を実施して、データに基づいてピックアップした効果的な面談事例を共有。面談の振り返りでは、面談後に部下へとアンケート調査を行い、その結果をデータ化して上司に展開しました。その結果、2年後には上司のキャリアや評価に対する対話の実施率や部下の満足度、挑戦意欲が向上しました。

ウェアラブル技術による幸福度の予測

ある製造メーカーは、従業員の幸福度はパフォーマンスに大きく影響を与えるとの考えのもと、幸福度の予測にピープルアナリティクスを実施しています。従業員にウェアラブルセンサーを装着させ、計測した身体運動のパターンより、幸福感との相関を発見しています。
 
またデータを独自の人工知能で分析した上で、職場でのコミュニケーションや時間の使い方といった幸福感につながる行動をアドバイスする仕組みも提供しています。これにより、職場におけるパフォーマンスや生産性向上、および幸福度向上が期待されています。

ピープルアナリティクスを成果につなげるポイント

 ピープルアナリティクスを実践しても、データを十分に活かせずに終わってしまっている、分析そのものが目的となってしまっているといった課題に直面してしまうことがあります。それらの課題に対応し、成果につなげるためには、次のポイントを押さえることが有効といわれています。

目的の明確化

ピープルアナリティクスの実施そのものを目的としてしまうと、「システムやツールを導入して分析できればよい」という雰囲気が社内で作られてしまいます。あくまで分析は手段です。ピープルアナリティスクスを実施し成果を出すには、実施する目的を明確にする必要があります。
 
「人的資本経営」や「戦略人事」が推進される中、人材データ活用による客観的な意思決定や戦略策定は必要不可欠です。人的資本経営を進める上で参考になる経済産業省の「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~ 人材版伊藤レポート2.0~(※)」では、経営戦略実現の障害となる人材面の課題を特定し、課題ごとにKPIを用いて、目指すべき姿(To be)の設定と現在の姿(As is)とのギャップの把握を定量的に行うことが重要と示しています。

※経済産業省「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~ 人材版伊藤レポート2.0~」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/pdf/report2.0.pdf
 
課題に対応する形で目指すべき姿を据えることは、経営戦略を進める上で重要な位置づけとなっています。まずは目的そのものを重要視することからはじめましょう。

必要なデータを検討し収集する

データが集まらなければ、分析は行えません。また、どのようなデータが必要なのかの見当がつかないといったケースもあります。目的を明確にした上で社内で話し合いながら、どのデータを活用するべきなのかを検討し、必要なデータを収集しておくことが重要です。

分析スキルを持った人材の確保

企業の人事部門がピープルアナリティクスを実施する際には、いくつかのスキルを備えていたほうが、より有意義な分析の実施や成果につながると考えられます。

ピープルアナリティクス分析手法は以下関連記事でも解説しておりますが、やはり専門的な知識を持つ人材が集中して分析業務を進めるのが望ましいです。

分析スキルを持つ人材を確保、または育成した上で進めましょう。

関連記事|ピープルアナリティクス実施の際に備えておくと良いスキルとは?

最適なピープルアナリティクスツール選定

これからはじめてピープルアナリティクスに取り組む企業であれば、紙やExcelで簡易的に実施することもできます。

ただ、Excelでは時間がかかるほか、多種多様なデータを掛け合わせた分析は、やはり手動では限度があります。

より高度なピープルアナリティクスを実施するのであれば、最適な分析をサポートすることができるシステムやツールを選定したうえで導入することも成功のカギを握ります。

関連記事|ピープルアナリティクスツールの選定のポイントを5つご紹介

社内に課題解決のための具体的な目標値を浸透させる

ピープルアナリティクスの目的を明確にした後は、目的別に具体的な目標値やKPIを設定することが重要です。さらに、目標値を社内に浸透させることで、組織全体としてその目標値に向けて同じ方向を向いて施策を推進することができます。
 
また人事データの分析は、人事評価や配置など従業員にも直接関係することも多く、デリケートな部分もあります。従業員から“組織による一方的な取り組み”と思われないためにも、目的・目標値の共有は重要となります。

ピープルアナリティクスを円滑に進める人事システム「LaKeel HR」

ピープルアナリティクスを実施し成果につなげるためには、人事システムを活用し、より素早く効率的に実施していくことが有効です。
ピープルアナリティクスを行える人事システムをお探しなら「LaKeel HR」がおすすめです。
 
LaKeel HRは、勤怠管理や給与管理などの基本的な機能だけでなく、社内の人事データなどを集約し、採用分析や人事評価分析、異動配置シミュレーションなどのデータ分析を行える機能も備えています。人事データの収集と分析、施策実行まで一つのシステムで実現することができ、自社にとって最適な戦略人事に取り組む近道となります。ピープルアナリティクスはもちろん、戦略人事、人的資本経営の実現に向けた施策をスムーズに推進することができます。

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