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『2022年度の法改正』社内の見直しや確認はしましたか? 人事・労務担当者が必ず押さえておくべき重要事項


2022年度も人事・労務に携わる方々にとって重要な法改正が予定されています。

人事担当者は、法改正の内容を正しく理解し、法律を遵守した上で、会社と社員が思う存分成果が発揮できるような「攻め」と「守り」の環境作りを進めていく必要があります。

この記事では、そんな皆さんが押さえておくべき主な改正事項について概要をまとめましたので、詳しく見ていきましょう。


目次[非表示]

  1. 1.パワハラ防止法(労働施策総合推進法)2022年4月1日改定
    1. 1.1.パワーハラスメントとは
    2. 1.2.パワーハラスメントの防止と施策
  2. 2.女性活躍推進法 2022年4月1日改定
    1. 2.1.女性活躍推進法とは
    2. 2.2.一般事業主行動計画の策定・届出の進め方
    3. 2.3.女性の活躍に関する情報公表
    4. 2.4.えるぼし・プラチナえるぼしマークについて
  3. 3.育児・介護休業法(産後パパ育休制度)2022年4月、10月改定
    1. 3.1.育児・介護休業法とは
    2. 3.2.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
    3. 3.3.妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
    4. 3.4.育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
    5. 3.5.産後パパ育休制度の創設・分割取得(2022年10月1日~)
  4. 4.健康保険法・厚生年金保険法 2022年10月1日改定
    1. 4.1.社会保険適用対象者の範囲
    2. 4.2.社会保険適用対象者本人の意向確認
    3. 4.3.書類作成・届出
  5. 5.まとめ

パワハラ防止法(労働施策総合推進法)2022年4月1日改定

大企業では2020年6月から施行され、中小企業には猶予期間が設けられていましたが、2022年4月1日より中小企業に対してもパワハラ防止法(労働施策総合推進法)が適用されます。

これにより、すべての企業に対し法的に明確化されたパワハラ基準に基づく具体的な防止措置への取り組みが義務づけられます。

パワハラを防止するためには「どんな行為がパワハラに該当するのか」について知っておく必要があります。


パワーハラスメントとは

パワハラ(パワーハラスメント)とは、職場内で職務上の地位や人間関係などの優位性・立場を利用して、労働者に対して業務の適応範囲を超えた𠮟責や嫌がらせを行う行為のことです。

この定義内では以下の6つの類型に分けられています。

1.身体的な攻撃(暴行・傷害)

2.精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)

3.人間関係の切り離し(隔離・仲間外し・無視)

4.過大な要求(明らかに遂行不可能な業務の強制)

5.過小な要求(能力や経験と見合わない仕事を命じることや、仕事を与えないこと)

6.個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)


パワーハラスメントの防止と施策

そしてこれらの防止と対策として、企業には以下のような措置を講じることが求められます。

出所:厚生労働省「パワーハラスメント防止措置」


様々なハラスメントは、従業員の精神的身体的苦痛となり、被害者の人権を侵害するとともに離職を促すことに繋がります。

そして、こうした問題が起きることで、当事者や周りの従業員の業務やパフォーマンスの妨げになり、経営戦略上においても支障となります。重大な問題に発展した場合、従業員の精神障害の労災認定をうけ、企業にも大きなダメージがかかります。

そのため、企業側は内部体制や対応マニュアル、定期的な調査や研修など防止措置とともに、万が一の際に機能する仕組みづくりを検討していく必要があります。

また、労働者もハラスメントについて関心を持ち、理解を深める事が重要です。普段の言動や行動には注意を払い、事業主が行う措置への協力に努めることが大切です。

上記の当該内容については就業規則への記載も必須になりますので、今一度確認や対策をしておきましょう。


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女性活躍推進法 2022年4月1日改定


女性活躍推進法とは

女性活躍推進法とは、仕事で活躍したいと希望する全ての女性が、個性や能力を存分に発揮できる環境整備や社会の実現を目指し、2015年8月に成立した法律です。

女性活躍推進法の対象は正社員だけではありません。パート・アルバイト、契約社員など名称にかかわらず、雇用期間の定めがない従業員、1年以上雇用されている(見込まれている)従業員を指しています。

301名以上の従業員が所属する企業には2020年4月1日より、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・届出や、自社の女性活躍に関する情報公表が義務付けられています。101名以上300人以下の中小企業は努力義務とされていましたが、2022年4月1日より中小企業にも適用が開始されます。

対象となる事業主は、一般事業主行動計画を策定し、各都道府県の労働局に提出する必要があります。


一般事業主行動計画の策定・届出の進め方

行動計画の策定から、届出までの流れは、以下の4つのステップになります。


出所:厚生労働省 女性の活躍推進企業「女性活躍推進法が改正されました」


※ ステップ1、ステップ4においては、必要に応じて、労働者や労働組合等に対するアンケート調査や 意⾒交換等を実施するなど、職場の実情の的確な把握に努めていきましょう。

まず始めに行うステップ1の状況把握では、以下の基礎項目から状況把握をし、自社の課題を分析します。

基礎項目に加え、自社の実情に応じて状況把握することができる選択項目から、より深く分析を行うことも効果的です。


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状況把握・課題分析を完了したのち、次のステップへと進みます。


女性の活躍に関する情報公表

自社の女性の活躍に関する状況について、以下の項目から1項目以上選択し、求職者等が簡単に閲覧できるよう情報公表をする必要があります。

出所:厚生労働省 女性の活躍推進企業「女性活躍推進法が改正されました」


情報公表の内容については、おおむね年1回以上更新し、いつの情報なのか分かるよう更新時点を明記します。

そして、厚⽣労働省が運営する「⼥性の活躍推進企業データベース」や自社ホームページ等インターネットの利用などにより、学⽣をはじめとした求職者等が容易に閲覧できるよう公表する必要があります。

※女性活躍推進法を取り組むにあたって、詳しい策定内容や記入例を知りたい方は下記の参考資料をご覧ください。

参考:「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう」 厚生労働省


えるぼし・プラチナえるぼしマークについて

「一般事業主行動計画の策定・届出」を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する状況が優良な企業は、厚生労働大臣による「えるぼし」認定を受けることが可能です。「えるぼし」認定を受けた企業は、商品や広告に認定マークを使用することができ、女性活躍推進企業であることを広くPRすることができます。


えるぼし・プラチナえるぼしマークの企業メリット

・女性が活躍できる企業としてイメージアップ

・従業員の働きがいのアップ

・女性の採用から多様なキャリア形成まで職場環境の整備

・優秀な人材の確保、定着

・厚生労働省のサイトに掲載

・労働環境整備などの必要資金を低金利で利用

・国などの事業の入札時の加点 など


一般事業主行動計画の策定で、活躍状況の把握から分析、計画、実行、改善のPDCAサイクルを確立させ、女性従業員が一層やりがいを感じ安心して力を発揮できる職場環境づくりを目指していきましょう。

今回の法改正を機に、各企業が自社の女性推進について考える機会になればと思います。


育児・介護休業法(産後パパ育休制度)2022年4月、10月改定

2021年6月に育児介護休業法が改正され、2022年4月1日より段階的に施行されます。

育休

育児・介護休業法とは

育児・介護休業法とは、育児や介護をしなければならない労働者が、円滑に仕事と両立できるよう配慮し、働き続けられるよう支援するための法律です。

今回の改正では、男性の育児休業取得促進のための枠組みが新たに追加され、育児休業を取得しやすい環境整備や従業員への個別の周知・意向確認なども義務化されます。


有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

有期雇用労働者が育児・介護休業を申し出ることができる条件の1つとして、改正前は「引き続き雇用された期間が1年以上」がありましたが、改正後はこれが撤廃され、要件が緩和されます。

したがって、育児休業は「1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない」、介護休業は「介護休業開始予定日から93日経過日から6か月を経過する日までに契約が満了することが明らかでない」という条件を満たせば休業の申出をすることができるようになります。


妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置

本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を、個別に行います。

■周知事項

① 育児休業・産後パパ育休に関する制度

② 育児休業・産後パパ育休の申し出先

③ 育児休業給付に関すること

④ 労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

■個別周知・意向確認の方法

①面談(オンライン面談可) ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか

※③、④は労働者が希望した場合のみ


育児休業を取得しやすい雇用環境の整備

従業員からの育児休業と産後パパ育休制度の申し出が円滑に行われるために、事業主は以下のいずれかの対応をします。

① 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施

② 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)

③ 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供

④ 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

※複数項目の対応が望ましいです。


産後パパ育休制度の創設・分割取得(2022年10月1日~)

男性の育児休業取得促進のため、子の出生直後(8週間以内)の時期における柔軟な育児休業の枠組みとして、「産後パパ育休(出生時育児休業)」が新設されます。

今回改正によって加わった新制度の内容は具体的には以下の表の通りです。

男性が育児休業を取得しやすい環境になることは、女性の継続就業につながり、人材不足の解消や優秀な人材の確保に貢献することが望まれます。

共働きが多い現代では、育児はお互いが助け合い仕事との両立をしていくことが求められています。そのため、企業は従業員が育児と仕事の両立をしつつ、長く働けるような環境づくりをしていく必要があります。


戦略人事実行のためのお役立ち資料


健康保険法・厚生年金保険法 2022年10月1日改定

2022年10月1日から、段階的に一部のパート・アルバイトの方の社会保険の加入が義務化されます。現行、501人以上の企業を対象に義務付けられていますが、今回の改正により101人以上の企業にも適用範囲が広がります。

また、社会保険適用のもうひとつの条件である労働者の要件についても一部見直しが入ります。



社会保険適用対象者の範囲

契約上は所定労働時間が20時間に満たない場合でも、雇用後に残業が積み重なって実労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、引き続きその状態で雇用されると見込まれる場合には、3か月目から社会保険の加入とする必要があります。


社会保険適用対象者本人の意向確認

社会保険の加入は、労働者の判断によって選べるものではなく、要件を満たしている労働者は、必ず加入しなければなりません。

労働者本人が希望しないからといって、加入手続きを行なわなかった場合、企業が義務を果たしていないことになり、罰則(6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金)が課されます。

新たに社会保険の適用者となる短時間労働者を対象にした説明会や個人面談を設け、以下の点を伝えます。

●社会保険の新たな加入対象者であること

●社会保険の加入メリット

加入メリット

●老後・障害・死亡の基礎年金に3つの年金(厚生年金)が上乗せになる

●傷病手当金、出産手当金などの医療保険による保障が充実する


社会保険に加入した場合、給与から社会保険料がひかれることから、保険加入を望まない方もいると考えられます。

労働者とコミュニケーションをとり、社会保険の制度をしっかり説明していくことも重要です。


書類作成・届出

2022年8月までに、雇用する被保険者の従業員数が101~500人の事業所には、日本年金機構から新たに適用拡大の対象となることを知らせる通知書が届きます。

通知があった事業所は、届出に必要な書類を作成し2022年10月5日までに申請を行う必要があります。


まとめ

2022年度は、人間関係や女性の活躍推進、働く環境の整備・見直しなどに関する法律が改正されます。自社が対象企業に含まれるかどうか、どの法律が適用されるのかを確認することはとても重要です。

これらの法改正にあたり、多くのデータや企業情報の見直しと、改正後のルールを照らし合わせ確認していく必要があります。

そして、法改正の種類により扱うデータは違いますが、すべてに共通する確認事項として従業員の人材データの収集・分析が必要となります。

人材データの可視化をすることで、このような重要な改正時の申請や対象者の確認など、簡潔に情報分別することができます。

今回の法改正を機に社内情報の見直しや管理方法など、今一度確認してみてはいかがでしょうか。

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