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ストレスチェックの集団分析の進め方は?基礎から解説


2015年から職場でストレスチェックが義務付けられており、実施はしているものの、集団分析を行えておらず、活用できていないという課題もあるのではないでしょうか。ストレスチェックの結果は従業員個人の気付きだけでなく、職場改善にも役立てることができます。

今回は、ストレスチェックの集団分析の進め方や分析結果の活用方法をご紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.ストレスチェックとは?目的も確認
    1. 1.1.ストレスチェックの目的
  2. 2.ストレスチェックの結果はいかに活用できるかが重要
  3. 3.ストレスチェックの集団分析の手法
    1. 3.1.ストレスチェック結果を集団分析に使用する際の注意点
    2. 3.2.仕事のストレス判定図
    3. 3.3.総合健康リスク
  4. 4.ストレスチェックの分析結果の活用方法
    1. 4.1.対策例
  5. 5.まとめ

ストレスチェックとは?目的も確認


ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票に労働者が記入し、それを集計し、分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。

労働安全衛生法改正により、労働者が50人以上いる事業所では2015年12月から毎年1回、ストレスチェックの検査をすべての労働者に対して実施することが義務付けられました。


ストレスチェックの目的

ストレスチェックの目的は、労働者が自分自身のストレスの状況に気付き、ストレスをためすぎないために対処することに加え、事業者がストレスチェックの結果をもとに職場改善を行い、働きやすい職場をつくることにあります。

メンタルヘルスに関する職場の課題を早期に発見し、未然に従業員の不調や職場で生じるさまざまな問題を防ぐことで、より良い職場づくりにつなげることができます。



ストレスチェックの結果はいかに活用できるかが重要

ストレスチェックは、義務化されて以来、実施することそのものに注力される傾向がありますが、その目的にある通り、結果をもとに職場環境の改善につなげるところまで行ってはじめて意味を成すと考えられます。

ストレスチェックの実施手順として、厚生労働省は次の流れを示しています。

1.導入前の準備(実施方法など社内ルールの策定)
2.質問票の配布・記入(※IT システムを用いて実施することも可能)
3.ストレス状況の評価・医師の面接指導の要否の判定
4.本人に結果を通知
5.本人から面接指導の申出
6.医師による面接指導の実施
7.就業上の措置の要否・内容について医師から意見聴取
8.就業上の措置の実施

ストレスチェックと面接指導の実施状況は、毎年労働基準監督署に所定の様式で報告する必要があります。

この流れの他に、「3.ストレス状況の評価・医師の面接指導の要否の判定」の後に、努力義務として個人の結果を一定規模のまとまりの集団ごとに集計・分析を行い、職場環境の改善につなげる流れも示されています。

高ストレス者の改善を進めていくと共に、職場ごとのストレス状態の現状把握と改善を行うために集団分析を行うことで、うつなどのメンタルヘルス不調を未然に防止することにつなげていくことができます。

出典:厚生労働省「ストレスチェック制度 簡単!導入マニュアル


ストレスチェックの集団分析の手法

ストレスチェックの結果を集団分析する手法を見ていきましょう。


ストレスチェック結果を集団分析に使用する際の注意点

集団分析を行う際に注意しなければならないことがあります。

まず本人の同意なく、ストレスチェックの結果を見ることはできません。また集団分析を行えるのは、医師や保健師などの実施者と実施者の指示により、ストレスチェックの実施の事務に携わる実施事務従事者に限られます。

集計・分析の単位が10人を下回る場合には個人が特定される恐れがあるため、全員に同意を取る必要があります。もしくは個人を特定できない方法で分析する必要があります。

個人の特定につながらない方法には、例えばストレスチェックの評価点の総計の平均値を求める方法や、「仕事のストレス判定図」を用いる方法があります。


仕事のストレス判定図

仕事のストレス判定図は、厚生労働省が示している集団分析の方法の一種で、「量-コントロール判定図」と「職場の支援判定図」の2種類で成り立っています。これにより、集団としての職場のストレス状態を簡易的に見ることができます。

出典:厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」P.17

「量-コントロール判定図」では、横軸を「仕事の量的負荷」とし、縦軸を「仕事のコントロール」としてそれぞれのバランスを見ることで、職場の仕事によるストレス度合いを知ることができます。全国平均と管理職、専門職、事務職、現業職、営業部に細分化された値が記されているため、比較することで、より職場の現状が見えてきます。

図の右下に向かうほど、仕事のコントロールが少なく量的負荷が高くなるため、ストレス度合いが高いことを示しています。

「職場の支援判定図」では、横軸を「上司支援」、縦軸を「同僚支援」とし、職場における上司・同僚の支援の状態を全国平均と比較しながら確認することができます。

図の左下に向かうほど、上司・同僚の支援が共に低くなり、ストレス度合いが高いことを示しています。


総合健康リスク

仕事のストレス判定図によって、ストレスは従業員の健康にどのくらい影響を与えるリスクがあるのかを知ることができます。それを点数化したものが「総合健康リスク」です。

・総合健康リスクの算出方法

「量-コントロール判定図」の点数:健康リスクA
「職場の支援判定図」の点数:健康リスクB

総合健康リスク=健康リスクA×健康リスクB÷100

例えば「量-コントロール判定図」の点数が100、「職場の支援判定図」の点数が110だった場合、総合健康リスクは「100×110÷100=110」で「110」となります。

全国平均が100であるため、総合健康リスクが100よりも高い場合には、職場環境が従業員の健康状態に与えるリスクが高いといえます。150を超えている場合は早期に対応策をとる必要があるといわれています。



ストレスチェックの分析結果の活用方法

集団分析結果は、どのように活用できるのでしょうか。

例えば、「仕事量が多く負荷が高い」一方で「支援が少ない」といった特徴が分かれば、仕事量の見直しや支援を意図的に増やす施策を打つことが考えられます。このように原因を職場ごとに見極め、対策をとることが重要です。


対策例

・「仕事の量的負担」が高い場合
仕事の量的負担が高いケースでは、仕事量を見直す必要があり、特に生産性に結びついていない余分な業務の削減や仕事の進め方の問題解消などを行う必要があるでしょう。

また長時間労働が続いており休息時間が取りにくくなっているケースも考えられるため、検討が必要です。

ただし、仕事量が多くても自分のペースで仕事ができていたり、意見が言いやすい職場であればストレスはそれほどかからないため、仕事のコントロール値も踏まえて検討しましょう。

・「上司の支援」と「同僚の支援」が低い場合
支援が低い状態であれば、上司が多忙であることや、職場のコミュニケーションがうまく取れていないことなどが原因として考えられます。

上司の代わりとなるサブリーダーを置く、円滑なコミュニケーションのために職場レイアウトの変更やコミュニケーションツールの導入を検討することなどが考えられます。


関連記事|人事データの分析方法とステップを解説  メリットや事例もご紹介


まとめ

ストレスチェック結果の集団分析の方法や活かし方の概要をご紹介しました。ぜひストレスチェックの結果を有効活用して、職場改善につなげましょう。

ストレスチェックの集団分析は、ツールを用いることでより多角的かつ容易に分析が可能になります。

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退職リスク分析においては、ストレスチェック実施者もしくは実施事務従事者であればストレスチェックの結果を活用することができます。

従業員一人ひとりの結果から組織ごと、年代ごとなど、さまざまな分類で結果の可視化を行うことができます。そして、人材データやそれ以外のさまざまなデータとの掛け合わせ分析も可能となるため、退職リスクの高い従業員の傾向やそれに向けた職場改善の対策など、ストレスチェックの結果を有効活用することにつなげられます。


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