OKRとは?定義からMBO・KPIとの違い、メリット、導入方法まで解説!

OKRは企業などの組織が活用する目標管理の手法の一種で、その有効性から近年、多くの企業が導入し、活用を進めています。企業の目標と従業員個人の目標を結びつけることで、企業の成長と従業員のパフォーマンスの両方を高めることが可能です。
今回は、OKRの定義と注目されている背景、OKRを自社に導入するメリット、OKRの導入方法と成功のポイントを解説します。
目次[非表示]
- 1.OKRとは?
- 1.1.OKRとMBO・KPIとの違いとは
- 1.2.OKRが注目されている背景
- 2.OKR導入のメリット
- 2.1.目標の明確化によるモチベーションアップ
- 2.2.企業目標の従業員への浸透
- 2.3.組織全体の目標整合性の向上
- 2.4.社内コミュニケーション活性化
- 3.OKRの導入方法と成功のポイント
- 3.1.OKR設定時の重要なポイント
- 4.まとめ
OKRとは?
OKRとは「Objectives and Key Results」の略語で、「目標と主要な結果」と訳されます。米国インテル社で生まれた組織における目標管理のフレームワークであり、日本でも多様な業種・業界で取り入れられています。
企業、部門・チーム、従業員個人それぞれの「目標(Objectives)」と、その達成度を測る「主要な成果(Key Results)」を設定します。これらを組織全体で連携させることで、すべての従業員が一丸となって共通の重要課題に取り組み、目標達成を目指します。
OKRとMBO・KPIとの違いとは
OKRは、MBOやKPIと似ているところがあるため、よく比較されます。違いを押さえておきましょう。
MBOとは:
「Management By Objectives(目標管理)」の略。個人の目標設定と、その達成度に基づく人事評価を中心とした目標管理手法です。
KPIとは:
「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の略。最終目標(KGI)を達成するための、プロセスの達成度合いを測る中間指標です。
・OKRとMBOの違い
OKRとMBOとは非常に似ていますが、次のような違いがあります。
目的 | 達成基準 | 評価期間 | |
---|---|---|---|
OKR | 組織全体の目標達成 | 挑戦的な高い目標を掲げ70~80%程度の達成を目指す | 四半期(3か月)ごとなど短いスパンでの実施が一般的 |
MBO | 企業目標に基づく従業員個人の目標達成と人事評価への反映 | 個人にとって適切なレベルの目標を掲げ100%達成を目指す | 半年~1年に1回 |
OKRは組織が一丸となって共通の目標に向かうことを目的としています。そのため挑戦的な高い目標(ストレッチゴール)を掲げ、70~80%程度の達成率を目指すのが一般的です。四半期ごとなど短期間での評価を実施します。従来はOKRを従業員の人事評価や報酬に直接反映させないことが特徴でしたが、近年では企業によってOKRを部分的に評価に取り入れるなど、多様なアプローチが見られます。この短期的なサイクルにより、組織の柔軟性と環境変化への適応力を高めることができます。OKRを評価に反映させる場合は、挑戦的な目標設定を阻害しないよう、達成度だけでなくプロセスや学びも考慮するなどの工夫が必要とされます。
一方MBOは企業の生産性を向上させる目的を持ちながら、従業員個人の目標達成と評価を主目的に据え、半年~1年という比較的長い期間で100%の達成を目指します。人事評価や報酬に反映されるため、個人の動機付けと長期的な成長に焦点を当てています。
・OKRとKPIの違い
OKRとKPIの大きな違いは、その役割にあります。OKRが「目指すべきゴール(目的)」そのものであるのに対し、KPIはゴール達成までの「プロセスを計るメーター(指標)」を設定する点で大きく異なります。
KPIは通常、継続的にモニタリングされ、特定の業務プロセスや部門のパフォーマンスを測定するのに使用されます。一方、OKRは組織全体の方向性を示し、大きな目標に向けての進捗を管理します。
これらの手法は無関係ではなく、多くの組織で併用されています。例えば、OKRで大きな方向性を示し、KPIで日常的な業務のパフォーマンスを測定し、MBOで個人の長期的な成長を管理するといった使い方が可能です。組織の状況や目的に応じて、これらの手法を適切に選択したり、組み合わせたりすることが重要です。
OKRが注目されている背景
OKRが注目されている背景には、急速に変化するビジネス環境への対応が挙げられます。四半期ごとの目標設定により、市場の変化に迅速に適応できる柔軟性が評価されています。また、組織全体での目標の透明性が高まり、部門間の連携が促進されるという利点があります。さらに、挑戦的な目標設定と定期的な進捗確認により、従業員のエンゲージメントとモチベーション向上にも寄与します。
米国の大手テクノロジー企業での成功事例も、OKRへの注目を集める要因となっています。加えて、近年のリモートワークの増加に伴い、明確な目標設定と進捗管理の重要性が高まっており、OKRはこのニーズにも合致しています。
このように、OKRは現代のビジネス環境に適した目標管理手法として、多くの企業で導入が進んでいます。ただし、効果的な運用には組織文化や既存のプロセスとの調和が必要であり、慎重な導入が求められます。
OKR導入のメリット
OKRを導入することにより、次のメリットが期待できます。
目標の明確化によるモチベーションアップ
高い目標設定に向けて、組織が一丸となって取り組むことで、従業員や部門全体のモチベーションが向上します。
企業目標の従業員への浸透
企業の目標と従業員の目標が連動するOKRの特性により、自社の戦略に基づく目標を従業員の具体的な行動や成果に効果的に反映させることができます。
組織全体の目標整合性の向上
OKRは、組織全体が同じ目標に向けて成果創出を目指すため、従来バラバラだった組織目標のベクトルを揃え、整合性を高めることができます。
社内コミュニケーション活性化
共通の目標に向かって取り組むことで、部門や階層を超えた結束が生まれ、社内のコミュニケーションが活性化します。
これらのメリットにより、OKRは組織の方向性の統一、従業員のエンゲージメント向上、そして全体的な業績の改善に寄与します。ただし、これらのメリットを最大限に引き出すためには、OKRの適切な設定と運用が不可欠です。
OKRの導入方法と成功のポイント
OKRの導入ステップをご紹介します。ステップごとの成功のポイントもあわせて見ていきましょう。
1. 企業OKRの設定・調整
企業OKRを設定します。OKR設定の際には、企業・部門/チーム・従業員に共通して次のステップで行います。まず目標を定めた上で、それによって求められる主な成果を出していくようにしましょう。
(1)達成目標(O)の設定
(2)主要な成果(KR)の設定
目標は「挑戦的」なものにして、達成率70~80%を目指します。
またOKRを設定した後は、フィードバックによる調整を行うことが重要です。調整後は透明性を確保するために全社で共有します。
2. 部門・チームOKRの設定・調整
部門・チームについてもOKRを設定します。ここで重要なのは、企業OKRとの整合性を確保することです。設定後にフィードバックによる調整を行い、部門間で共有します。
3.個人OKRの設定・調整
従業員それぞれが個人OKRを設定します。部門・チームOKRとの整合性を確保します。
設定後はフィードバックによる調整を行い、チーム内で共有します。
4. 週次の進捗確認・レビュー
企業・部門・個人それぞれのOKRに基づき、成果創出のために行動します。その後、週次で進捗確認とレビューを行います。
ポイントは、高い頻度で進捗を確認することです。これにより問題の早期発見と迅速な軌道修正が可能になります。また、状況の変化に応じてOKR自体を見直す柔軟性も重要です。
5. 中間レビュー/最終レビュー
定期的な改善を進めるために四半期の半ばに中間レビューを、そして期末(3か月後)には最終レビューを行います。レビューでは達成度の評価だけでなく、成功・失敗の要因を分析し、次のサイクルのOKR設定に活かすことが重要です。
OKR設定時の重要なポイント
繰り返しになりますが、OKR設定時の重要なポイントとして次の5つを押さえておきましょう。
・透明性:すべての部署・階層・個人のOKRを組織全体で共有する。
・アラインメント(調整):各レベルのOKRの相互整合性を確保する。
・柔軟性:環境変化に応じてOKRを調整する。
・挑戦的な目標設定:達成率70~80%を目指す。
・コミュニケーションの促進:定期的な対話と情報共有を積極的に行う。
これらのステップとポイントを押さえることで、OKRの効果的な導入と運用が可能となり、組織全体の方向性の統一と成果の最大化が期待できます。
まとめ
OKRは、企業目標と従業員個人の目標との整合性を確保し、組織全体が生産性向上、成長のために目標達成を目指せる有効な手法です。全社共有による透明性、整合性確保、柔軟性などのポイントを押さえて、成功させましょう。
また日々の行動と定期レビューに欠かせない目標数値管理を効率化するためには、システムでの管理と共有がポイントになります。OKR、MBOを始めとした目標管理制度の運用には、タレントマネジメント機能を備えた人事システム「LaKeel HR」が役立ちます。
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