ピープルアナリティクス実施の際に備えておくと良いスキルとは?
近年、世界的にピープルアナリティクスが進められており、精度の高い人材マネジメントが行われるようになってきました。企業の人事部門がピープルアナリティクスを実施する際には、いくつかのスキルを備えていたほうが、より有意義な分析の実施や成果につながると考えられます。
今回は、ピープルアナリティクス実施の際に備えておくと良いスキルをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.ピープルアナリティクスとは?
- 1.1.重要視されている理由
- 2.ピープルアナリティクスの成果を高めるスキル
- 2.1.人事専門知識・スキル
- 2.2.問題解決力
- 2.3.データ分析スキル
- 2.4.論理的思考力
- 2.5.情報システム関連スキル
- 3.ピープルアナリティクスに多様なスキルが有効である理由とは?
- 4.ピープルアナリティクスを主導する新しい職種「人事アナリスト」とは?
- 4.1.人事アナリストとは?
- 4.2.人事アナリストの役割
- 5.まとめ
ピープルアナリティクスとは?
ピープルアナリティクスとは、社内の人材に関するあらゆるデータを分析し、人事戦略や経営戦略に役立てる手法です。
データ分析による具体的な活用領域は、採用、育成、配置、評価などです。課題の発見や施策の効果測定を、迅速かつ正確に行うことで、次の戦略立案やアクションにつなげていきます。
ピープルアナリティクスにおいて分析対象となるのは、年齢、性別、職位、所属部署・部門、最終学歴等の従業員の属性データ、従業員の適性検査や人事評価の結果、従業員の勤怠・給与情報などをはじめとした、従業員のあらゆるデータです。
重要視されている理由
近年、ピープルアナリティクスは世界的に進められており、日本でも多くの企業で実践されています。
ピープルアナリティクスが注目されている背景として、人事システムなどの導入が進み、従業員の情報をデジタルで管理する環境が整備され、従来の勘や経験、慣習に頼らず、データを活用した客観的な意思決定の実施が定着してきたためです。
また、個々の人材の適正に基づいた精度の高い人材マネジメントを、企業戦略と絡めて進める動きが高まっていることも背景として挙げられます。
適正に基づく人材マネジメントが求められる理由の一つは、労働市場の変化と多様化が進む中で、適材適所の配置が企業の競争力を左右するからです。従業員のスキルや適性を正確に把握し、最適な役割を与えることで、個々のパフォーマンスを最大化し、組織全体の生産性向上を図ることができます。このように、ピープルアナリティクスは戦略的な人材活用を支える重要なツールとなっています。
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ピープルアナリティクスの成果を高めるスキル
ピープルアナリティクスは、データを分析して人事施策に活かす取り組みであり、特に資格も必要なく行うことができます。実際に行う際には、次のようなスキルを備えておくと、より精度が高い分析を実施するこができ、良い成果につなげることができると考えられます。
人事専門知識・スキル
人事スキルとは、人事にまつわる知識や経験、業務全般のスキルを指します。ピープルアナリティクスの目的は経営戦略に基づく人事戦略の立案や課題を解決することにあります。ピープルアナリティクスを進める上で、仮設を持った上で実施することで効率があがります。
問題解決力
ピープルアナリティクスで人事課題の解決を進めるためには、ビジネススキルとしての問題解決力があれば、より解決へと進めやすくなります。企業の人事領域における様々な課題において、本質をとらえ解決している能力は重要なスキルとなります。
データ分析スキル
蓄積されたデータから統計的な分析を行う際には、データ分析スキルが求められます。例えば、採用活動において、ピープルアナリティクスを行い、自社に不足しているスキルを持つ人材を積極的に採用したいシーンでは、自社に不足しているスキルを人材データから、どのように抽出して分析するのかを検討する必要があります。
課題に対して、どのデータがどの程度必要なのか、またどのような分析手法が最適なのかを特定する力があれば、課題解決に向けて有効な分析結果を手に入れることができます。
論理的思考力
データ分析においては、論理的思考力も重要です。「そもそもこの分析は何のために行っていて、どんな成果を出す必要があるのか?」「分析結果は本当に事象によるものか?」など、論理的に考えて進めていく必要があります。論理的に思考するためには、フレームワークを利用することも多く、フレームワークに関する知識があるとより良いでしょう。
情報システム関連スキル
情報システム関連スキルとは、社内でどのようなシステムが運用されており、各システムにはどのようなデータが蓄積されているのかなどを把握し、データ活用に活かすスキルです。ピープルアナリティクスでは、分析に必要な社内データを自由自在に取り扱えることが理想であるため、このスキルはある程度持っておく必要があるでしょう。
また、情報システム関連スキルがあれば、データ収集から活用まで全体の流れを俯瞰的に見ることができるメリットもあり、ピープルアナリティクスを効率的に進めていくことにも役立ちます。
ピープルアナリティクスに多様なスキルが有効である理由とは?
ピープルアナリティクスには、先述のような幅広いスキルを用いることで有意義な成果につなげることができるでしょう。
例えば、データ分析スキルや情報システム関連スキルだけ持っていても、「分析のための分析」にとどまってしまい、人事課題を解決するには価値の低い分析になってしまう恐れがあります。
一方、人事スキルだけ持っており、データ分析スキルや情報システム関連スキルが不足していると、「どのようなデータを使って、どのような手法で分析すれば良いのかわからない。」「そもそも必要なデータがどこにあるのかわからない」といった状態になってしまう恐れがあります。
今回ご紹介したすべてのスキルをバランスよく備えていることで、「何ための分析なのか?」をしっかりと見据えることができ、人事課題の解決というピープルアナリティクスの目的を達成しやすくなるでしょう。同時に、データ分析結果の精度も上がると考えられます。
ピープルアナリティクスを主導する新しい職種「人事アナリスト」とは?
昨今は、ピープルアナリティクスに特化したスキルを求める傾向が生まれており、新しい職種「人事アナリスト」の必要性が語られ始めています。
人事アナリストとは?
まだ明確な定義が決まっているわけではありませんが、人事アナリストとは、一般的に、人事部門でピープルアナリティクスを主導する役割を担う職種です。すでに米国の一部の企業では活躍しはじめているといわれています。人事や経営コンサルティングなどの人事にまつわる専門知識や経験を持ちながら、データ分析のための調査設計や分析結果の解釈、施策の推進に向けた提案などを得意とします。
人事アナリストの役割
人事アナリストに求められる役割は、データアナリストなどのデータ分析の専門家を統率し、ピープルアナリティクスを効果的に進めながら、問題解決に導くことです。社内の課題をヒアリングし、適切な仮説を立て、必要な分析調査の設計を行い、データ分析結果から解釈して解決策を提案します。
さらに、社内のピープルアナリティクスをより高度なものにするための指導や振り返りも行います。
人事データ分析・活用の流れが大きくなる中、競争力を強化するためにも、将来的に人事アナリスト必要性が増していくと考えられます。
まとめ
ピープルアナリティクスを実践する際に、携えておくとより有意義な成果につながるスキルをご紹介しました。社内でピープルアナリティクスをより精度高く進めたいという場合は、スキル向上について検討されてみるのも良いのではないでしょうか。
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