サクセッションプランの事例を5つご紹介!成功させるポイントは?

サクセッションプランは、企業における事業を継承する後継者の配置計画や育成計画を指します。企業の持続的な成長に欠かせない取り組みでありながら、企業によってやり方が異なるため、自社独自のやり方を探っていることもあるのではないでしょうか。
今回は、サクセッションプランの好事例として5つ、実際の企業の取り組みをご紹介します。そしてそれらの成功事例から、成功のポイントを解説します。これからサクセッションプランに取り組む際のヒントとしてお役立てください。
サクセッションプランとは?
サクセッションプランとは、企業が作成する、事業を継承する後継者の配置や育成計画の実行施策全体のことを指します。「Succession=継承、相続」「Plan=計画」のとおり、事業継続と企業価値向上を目的に策定されます。
経営者はもちろんのこと、組織上、重要なポジションにおける後継者の見極めや配置、育成を行います。
サクセッションプランのメリット
サクセッションプランは、組織の継続性を確保し、計画的な人材育成を促進します。重要ポジションの後継者を準備することでリスクを軽減し、従業員のモチベーション向上にも寄与します。また、知識やスキルの確実な継承、多様性の促進、長期的なコスト削減も実現し、結果として、組織の安定と持続的な成長、競争力の維持強化につながります。
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サクセッションプランの好事例5選
日本国内には、サクセッションプランに注力している企業が数多く存在します。その中から、好事例を5つご紹介します。
花王
花王株式会社は、経営方針に基づき人財育成にも力を入れており、組織の存続・維持のために、キーポジションの育成を実施しており、ポジションの後継者がわかるよう、人財の定義を次の3つに分類してサクセッションプランとしています。
今すぐに後任となれる人財(Ready Now)
1~3年で後任として育成する人財(Ready Soon)
3~5年で後任として育成する人財(Mid Term)
この3段階の名簿を作成し、具体的なポジションに当てはめて、育成計画を推進しています。
トヨタ自動車
トヨタ自動車株式会社は、グローバル幹部の人材育成プログラムとして「GLOBAL21プログラム」を策定しています。これは、全世界の優秀な人材が、グローバルトヨタの幹部にふさわしい能力・見識を習得し、各担当職務で個人の強みを最大限に発揮するための仕組みです。具体的には、次の3つの柱を元にプログラムを構成しています。
経営哲学 ・ 幹部への期待の明示
人事管理
育成配置 ・ 教育プログラムの展開
また海外地域本部長を召集し、異動や配置、将来の役員候補者の育成について議論する「Global Succession Committee」を開催しています。
サクセッションプランに基づく候補者の育成状況のうち、女性役員比率は13.8%であると公表しています(2024年6月時点実績)。
ソフトバンク
ソフトバンク株式会社は、創業者の後継者育成を目的として、2010年に「ソフトバンクアカデミア」という、社内外から選抜された精鋭人材に対して経営戦略などの教育・育成を行うための大学を企業内に創設しました。
また、CEOのサクセッションプランを特別に用意しており、CEO後継者候補については、取締役や執行役員に選任することで、将来の後継者育成とともにその適性を監督しています。
具体的な経験を積ませながら、社内の360度評価等と併せ、指名委員会で定期的にモニタリングし、事業環境に最適な後継者を指名できる仕組みを作っています。
大阪ガス
大阪ガス株式会社は、経営幹部ポストを中心にサクセッションプランを策定し、持続的なパフォーマンス発揮を目指しています。
人事部では、タレントマネジメントシステムにより、サクセッションプランを可視化する仕組みを構築しています。これにより、システムのダッシュボード上でマッピングができるため、中長期的に必要になる役職の層の確認が可能です。
例えば部長クラスの層が薄い場合は他の領域から異動させる、若い年次から昇格させるなどして組織長や管理者の配置や選抜に役立てています。
帝人グループ
帝人グループでは、役員と部門長クラスのサクセッションプランを、役員と部門長クラスそれぞれが自身で策定している点、随時アップデートする仕組みを構築している点に特徴があります。
役員においては、各役員がサクセッションプランを策定した後、CEOと人事・総務管掌との三者面談で確認し、その後、グループ人事/D&I会議で議論をするというプロセスでアップデートしています。
部門長クラスにおいては、部門長本人がサクセッションプランを策定した後、各役員がサクセッションプランをアップデートさせ、人事・総務管掌と役員との事業別人事会議で議論を行い、配置や育成を戦略的に実施しています。
サクセッションプランの成功のポイント
好事例を踏まえ、成功のポイントとして次の点が挙げられます。
人材・選定基準の明確化による透明性の確保
サクセッションプランの策定においては、どのような基準で選定しているのか、社内外に対して詳細に公表しており、透明性を確保している点が共通しています。
ポストや成長段階に合わせた育成方針の立案
サクセッションプランは、経営者だけでなく、CEOから役員、部門長まで幅広いポストがあり、それぞれのポストに最適なサクセッションプランが計画されていると見ることができます。
十分な育成期間の確保
後継者育成は、知識やスキルの習得だけでなく、実務における経験も必要になるため、中長期的な取り組みが求められます。あらかじめ十分な育成期間を確保しており、着実な育成計画を立てていることがわかります。
タレントマネジメントシステムによる可視化
サクセッションプランの対象者の人材情報をタレントマネジメントシステムで管理することで、可視化と効率的な把握、共有が可能になります。サクセッションプランを効率的に進める上で重要なポイントの一つといえるでしょう。
まとめ
サクセッションプランの実際の企業の事例と成功のポイントをご紹介しました。ポイントの一つに挙げた、タレントマネジメントシステムは、最適なものを選定することが大切です。
選定の際には、戦略人事に役立つ人事システムでタレントマネジメント機能も備わる「LaKeel HR」をおすすめします。
サクセッションプランについては、次の機能が役立ちます。
人材管理…個人の性格・能力・経験の可視化などが可能
人事評価分析…昇給スピードの比較、評価比較などが可能
サクセッションプラン…対象者の条件抽出、育成項目などが可能
異動・配置シミュレーション…異動候補の条件抽出、スキルや人物タイプ比較、組織別人件費、組織別適正人数などが可能