心理的安全性を高める方法7選!職場で取り組むメリットも紹介
「職場で自分の意見を伝えたいものの、否定されそうで言い出せない」「新しい案件にチャレンジしたいけれど、失敗が怖いのでためらってしまう」このような悩みを抱えている社員が職場にいるケースは少なくありません。
もし自社の職場がこれに当てはまる場合、心理的安全性が低い環境といえます。心理的安全性の高さを確保することは重要な課題ですが、どのようにしたら改善できるのかは、具体的にイメージしづらいかもしれません。
この記事では、心理的安全性を高める7つの方法や、心理的安全性が低い場合に起こり得るリスクについて解説します。具体的な施策内容を検討している人事担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.心理的安全性とは?
- 1.1.心理的安全性が注目されたきっかけ
- 2.心理的安全性を高める方法7選
- 2.1.方法①:多様性を認め、 お互いに尊重しあう
- 2.2.方法②:不平や不満ではなく、前向きな言葉で対応する
- 2.3.方法③:発言の機会を平等に確保する
- 2.4.方法④:1on1ミーティングの活用
- 2.5.方法⑤:チーム内でのサポート体制の強化
- 2.6.方法⑥:感謝の気持ちの共有
- 2.7.方法⑦:人事評価制度の改定
- 3.心理的安全性を高めるメリット・効果
- 3.1.コミュニケーション活性化による生産性向上
- 3.2.会社に対するエンゲージメントの向上
- 3.3.イノベーションの促進
- 4.心理的安全性を低下させる対人リスクとは?
- 4.1.①無知だと思われる不安
- 4.2.②無能だと思われる不安
- 4.3.③ネガティブだと思われる不安
- 4.4.④邪魔だと思われる不安
- 5.心理的安全性が低いために生じる問題
- 5.1.メンバー同士のコミュニケーションの減少
- 5.2.ミスの隠蔽と対処の遅れ
- 6.まとめ
- 7.心理的安全性向上をサポートする「LaKeel HR」
心理的安全性とは?
心理的安全性とは、会社や学校などのコミュニティ内で、他人の反応を恐れることなく個人が自然体でいられる状態を指します。また、心理的安全性が確保されているコミュニティであれば、自分の意見を発言しやすいため、ストレスを抱えにくいといえます。
英語では「psychological safety」とされており、1999年にハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授によって初めて提唱された概念です。
心理的安全性が注目されたきっかけ
心理的安全性が注目されるようになったのは、Google社の大規模な研究がきっかけでした。2012〜2015年までの4年間に渡って行われた「プロジェクト・アリストテレス」を通じ、生産性の高いチームの共通点として、どのチームも心理的安全性が高いということが判明しました。
またその研究結果によると、チームの生産性に影響するのは、個人の能力よりもチームがどのように協力しているかが大きく、以下5つの要素がキーポイントになるとされています。
・心理的安全性
・信頼性
・構造と明瞭さ
・仕事の意味
・インパクト
さらに、心理的安全性は他の4要素のベースとなるため、チームでの生産性を高めるために特に重要な要素として挙げられたのです。こうしたことから、プロジェクト・アリストテレスの研究報告とともに、心理的安全性は世界的に注目されるようになりました。
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心理的安全性を高める方法7選
心理的安全性を高めるためには、さまざまな方法があります。代表的な方法を7つ紹介するので、自社の状況と照らし合わせながら取り入れることを検討してみましょう。
方法①:多様性を認め、 お互いに尊重しあう
相手の人格や考えを認めてお互いに尊重しあうことは、心理的安全性を高めるための基本的な方法です。そういった環境が構築できていない場合、部下などの立場である社員は、気軽に発言ができないため、会議の生産性を下げることなどにつながります。
社員同士が尊重できる関係性が構築できれば、忖度することなく意見を交わすことができるでしょう。
方法②:不平や不満ではなく、前向きな言葉で対応する
不平・不満を控え、ポジティブな言葉を使ってコミュニケーションを取ることも、心理的安全性を高めるのに役立ちます。
例えば、チームメンバーが集まる場所で不平・不満を言う雰囲気が定着してしまうと、「ミスをしたら、愚痴の矛先が自分に向くのではないか」と社員が不安に感じ、発言しづらい環境ができてしまいます。
こういったことを防ぐために、職場ではネガティブな言葉の代わりに、できる限り前向きな言葉を使ってコミュニケーションを取るようにしましょう。
方法③:発言の機会を平等に確保する
チーム内の発言機会を平等に確保することも、心理的安全性を高めるための重要な要素です。発言の機会が特定の社員に偏ってしまうことは、社員間の発言力が偏ることにも直結します。
会議を行うときには、それぞれの社員が最低1回は発言できるようにファシリテーションを行うなど、「自分の意見を言いやすい・聞いてもらえる」と社員に感じてもらえるように工夫しましょう。
方法④:1on1ミーティングの活用
上司と部下が1対1で行う、「1on1ミーティング」を活用することも、心理的安全性を高める方法のひとつです。1対1で話すことにより、他の社員の前では言いづらいような本音を引き出しやすくなります。そのため、業務や人間関係で不安に感じていることを上司は把握しやすくなるでしょう。
また、社員1人のために上司が時間をとってミーティングをすること自体が、相手の存在を認めることにつながるともいえます。
方法⑤:チーム内でのサポート体制の強化
チーム内のサポート体制を強化し、困っているときに助け合える環境を構築することも、心理的安全性を高めるために有効な手段です。業務の進捗状況をチーム内で常に確認し、遅れが出た場合はすぐに社員をサポートできるよう環境を整えましょう。
また、積極的にフォローしあう風土があることで、チーム全体で働きやすい安心感が芽生え、心理的安全性はもちろん、生産性の向上にもつながります。
方法⑥:感謝の気持ちの共有
チーム内で感謝の気持ちを伝えあうことも、心理的安全性の向上につながります。人から感謝されることで、社員自身がチームや会社にとって必要であるという実感を得やすくなるためです。
感謝を伝えあう環境づくりの一環として、同僚への感謝の気持ちを贈る仕組みを作ることによって、社員は存在意義を感じやすくなり、心理的安全性が向上するでしょう。
方法⑦:人事評価制度の改定
人事評価制度の内容によっては社員の士気を下げる要因となるため、必要に応じて改定することも、心理的安全性を確保する方法のひとつです。
会社や上司から悪い評価を付けられるかもしれないという不安は、心理的安全性の向上を妨げます。そのため、社員が納得できる評価制度を整備することが重要です。
例えば、ゼネラル・エレクトリック社という企業では、心理的安全性を損なうという理由から、世界的に有名な評価制度「9ブロック」を廃止し、「パフォーマンス・デベロップメント」という制度に改定しました。この新しい評価制度では、従来の格付け形式ではなく、社員同士のフィードバックやコミュニケーションを中心にして評価が行われます。
このように評価制度を見直して改善を重ね、社員の納得度を高めることも、心理的安全性を高める一助となるのです。
心理的安全性を高めるメリット・効果
心理的安全性を高めることは、企業にとってさまざまなメリットをもたらします。ここからは、代表的な効果を3つ紹介します。
コミュニケーション活性化による生産性向上
心理的安全性が高い職場の場合、コミュニケーションが活性化されるため、チーム内の生産性向上につながります。
会議などで出たアイデアに対して建設的な意見がしやすい環境のため、より洗練された内容にブラッシュアップされていきます。また、コミュニケーションが活発に交わされることで、業務上での疑問点を質問しやすかったり、トラブルが発生したときに助け合ったりする環境が構築されます。
このようなことから、コミュニケーションが活性化されたチームは、さまざまな面で生産性向上につながるといえるでしょう。
会社に対するエンゲージメントの向上
心理的安全性が高まることで、会社に対する愛着心が増すため、離職率の低下につながります。心理的安全性が高い環境では、人間関係におけるストレスが少なくなり、社員は働きやすさがより感じられる状態となります。
そうなれば、会社に対する愛着心やエンゲージメントの向上につながるでしょう。社員は今の会社で長く働き続けたいとより感じるため、その結果、離職率の低下というメリットにつながるのです。
イノベーションの促進
心理的安全性の確保は、チーム内のイノベーション促進という効果ももたらします。心理的安全性が高く保たれた環境では、誰もが気兼ねなく自分の意見を発言できるため、新しいアイデアや画期的な意見が積極的に交わされるなど、イノベーションが生まれやすい環境になります。
心理的安全性を低下させる対人リスクとは?
心理的安全性を損なう要因として、以下4つのような対人リスクがあります。これらの要因を取り除くことが、心理的安全性を高めることに直結します。具体的に見てみましょう。
①無知だと思われる不安
業務の質問をした際に、相手から「そんなことも知らないの?」という返答やリアクションをされると、無知だと思われる不安が生じて、心理的安全性が低くなってしまいます。
上司や同僚にこういった対応をされると、社員は「また馬鹿にされるのではないか」「こんなことを聞いたらあきれられるかもしれない」と不安を感じ、疑問点をすぐに解消できなくなります。それにより、生産性を下げる原因や後々のトラブルにつながってしまう可能性があるでしょう。
②無能だと思われる不安
間違いや失敗を許容する環境が整っていないと、社員は無能だと思われることを不安に感じ、心理的安全性の低下を招きます。
こういった職場環境では、ミスをした場合にすぐに報告すべきものも、周囲に知られたくないという感情が先行しかねません。それがミスの隠蔽につながり、より大きなトラブルに発展する可能性が生じてしまうでしょう。
③ネガティブだと思われる不安
「会議で否定的な意見を言ってしまったら、周囲に否定的な人だと思われてしまうのでは」という不安を感じることも、心理的安全性を下げる要因となります。
このような環境下では、本当は反対意見を持っていたとしても、「ネガティブな人だと思われたくない」「人間関係のトラブルは避けたい」という気持ちを優先してしまいます。その結果、社員は言いたいことが言えず仕事へのモチベーションが下がり、生産性の低下を招くでしょう。
④邪魔だと思われる不安
同僚に業務のフォローを求めたくても「邪魔だと思われるかもしれない」という不安を抱えるような環境は、心理的安全性を下げてしまいます。
こうした不安が払拭できないと、社員は周囲へサポートを求めづらかったり、相談がしづらいと感じてしまいかねません。それによって心理的安全性を損ない、業務効率が下がったり離職につながったりと、ネガティブな影響をもたらす可能性があるでしょう。
心理的安全性が低いために生じる問題
心理的安全性の低さは、さまざまな問題につながります。以下のようなトラブルが起きている場合は、改善できるよう対策を練りましょう。
メンバー同士のコミュニケーションの減少
心理的安全性が低い環境では、本音や正直な意見を言いにくいため、社員同士のコミュニケーションを減少させます。それが職場全体のコミュニケーションの減少を引き起こすため、社員の会社に対するエンゲージメントが下がってしまいます。
このような状況下では、質問や相談、提案がしにくいので、業務の進捗スピードが鈍化するほか、業績悪化への懸念につながるといっても過言ではないでしょう。
また、昨今ではテレワーク環境におけるメンタル不調の原因のひとつとして、社員同士のコミュニケーション不足が挙げられます。業務はもちろん、社員のメンタルヘルスケアといったさまざまな対策のためにも、心理的安全性を高め、職場内のコミュニケーションを活性化させることは重要なのです。
ミスの隠蔽と対処の遅れ
心理的安全性の低さは、ミスの隠蔽やトラブル対処の遅れにもつながります。心理的安全性が低い職場の場合、社員同士が助けあう風土が整っていないため、ミスが発生すると隠蔽したり、責任転嫁をしたりといったケースに陥る可能性があります。
そのため、トラブルへの対処が遅れてしまい、早期に解決すれば大事にはならなかったものも、必要以上に収拾に時間がかかってしまうでしょう。また、このトラブルによってさらに心理的安全性を損なうという悪循環を招く恐れも考えられます。
個々を互いに尊重し、失敗も許される環境を作ることで、こういった事態は防ぐことが可能です。
まとめ
この記事では、心理的安全性の重要性や、それを高めるための方法について解説しました。
自社の従業員がどの状態にあたるのか、どのような対応や管理をしているのかなどを今一度確認し、自社に合った対応・改善をしていくことが重要です。
心理的安全性を確保するためには、これまで紹介してきた方法の他にも、会社への不信感をなくすことも重要となります。会社への不信感を排除し、社員の信頼感を醸成するためには、社内での取り組みに加えてツールの導入も有効です。
心理的安全性向上をサポートする「LaKeel HR」
人事システム「LaKeel HR」では、人事や労務に関する手続きの進捗状況を人事側、社員側の両方からリアルタイムで確認可能です。オペレーションのフローを可視化することで、人事業務の属人化を防ぐだけではなく、社員の安心感や信頼感を醸成することができます。
また、エンゲージメントサーベイや部下の人事データを現場マネージャーが簡単に登録・確認ができるため、従業員一人ひとりに合った対応を行うことが出来ます。 常に部下の変化や状況を把握できることで、退職リスクの高い社員の特定し、優先的にフォローアップをすることも可能となります。
心理的安全性を高められるよう、この記事で紹介した方法とあわせて、ぜひLaKeel HRの活用をご検討ください。
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